4月1日からプラスチックの包括的な資源循環体制を強化するための法律である通称「プラスチック新法」が適用されました。いまや日常生活の中になくてはならなくなったプラスチック製品の取り扱いに関する法律であり、飲食店を始めとして多くの事業者に影響を与える法律です。
今回は、プラスチック新法の概要から飲食店が取り組むべきことについて解説します。
プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律(プラスチック新法)とは
プラスチック新法は「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」の通称です。プラスチック使用製品の設計から廃棄物の処理に至るまでの各段階において、資源循環の取り組みを促進するものです。
資源循環の取り組みは「3R+Renewable」として、それぞれに目標が掲げられています。
3R+Renewable | 意味 | 目標 |
Reduce | ゴミの発生を減らす | ワンウェイプラスチックを累積25%排出抑制(2030年まで) |
Reuse | 繰り返し使う | ・リユース・リサイクル可能なデザインに変更(2025年まで) ・容器包装の6割をリユース・リサイクル(2030年まで) ・使用済みプラスチックを100%リユース・リサイクルにより有効活用(2035年まで) |
Recycle | 資源としてリサイクルする | 同上 |
Renewable | 再生可能資源に替える | ・再生利用を倍増(2030年まで) ・バイオマスプラスチックを約200万トン導入(2030年まで) |
基本方針として、プラスチックライフサイクル全体において関わりのある、すべての事業者や自治体、消費者が相互に連携しながら「プラスチック使用製品設計の指針と認定制度」「特定プラスチック使用製品の使用の合理化」「製造・販売事業者等による自主回収・再資源化」などに取り組むことが重要とされています。
飲食店が取り組むべきこと
プラスチック新法では、次の12品目が「特定プラスチック使用製品」として指定されています。
- フォーク
- スプーン
- テーブルナイフ
- マドラー
- 飲食用ストロー
- ヘアブラシ
- くし
- かみそり
- シャワーキャップ
- 歯ブラシ
- 衣類用ハンガー
- 衣類用カバー
飲食店では1~5の特定プラスチック使用製品に対して、削減のための取り組みが必要です。例えば、プラスチックのスプーンを木製に変更するなど、対象の製品を代替素材へ切り替えることだけでなく、次のような取り組みが一例として挙げられます。
- 消費者への意思確認
- 有償化して提供する
- 辞退者へのポイント還元
など
特定プラスチック使用製品の廃棄物排出抑制は「義務化」される
特定プラスチック使用製品が5トン以上の事業者は、廃棄物排出抑制を目指すことが義務化されます。取り組みを行わない事業者には改善勧告・改善命令が行われ、従わない場合には50万円以下の罰金が課せられるため注意しましょう。