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ローソンが「ゴーストレストラン事業」に参入-コンビニの店内調理がもたらす影響とは

広報部

2022.03.25

新型コロナウイルスの流行を期に、私たちの食生活には大きな変化が訪れました。フードデリバリーを始めとする大きな変化のなかで、最近ではコンビニの店内調理に注目が集まっています。コンビニの店内調理の進化により、今後どのような変化が訪れるのでしょうか。

今回は、弁当業界に大きく影響を及ぼすと見られるコンビニの店内調理について見ていきましょう。

ローソンのゴーストレストラン参入で変わる弁当業界

コンビニ大手のローソンは、1月末に店内で調理した弁当をUber Eatsで配達するゴーストレストラン事業に参入することを発表しました。フードデリバリーの普及によりゴーストレストランは注目を集めており、ローソンの参入は業界に大きな影響を与えました。

弁当チェーンとしては、売上高トップ3として「ほっともっと」「本家かまどや」「ほっかほっか亭」が挙げられます。ほっともっとは国内2489店、本家かまどやは約2300店、ほっかほっか亭は919店(いずれも22年1月末時点)です。

対して、ローソンは全国約1万4700店舗のうち、約8000店が店内で調理した弁当などを販売する「まちかど厨房」を備えています。まちかど厨房を弁当チェーンとみなすのであれば、日本最大の弁当チェーンはローソンになるでしょう。

流通アナリストの渡辺広明氏は「新型コロナの影響で2020年は11年ぶりに惣菜市場が縮小したと、日本惣菜境界が発表しています。さらに出前館やUber Eatsの料理宅配代行サービスも急成長しており、弁当チェーンにとっては強力なライバルが増えていると言っていいでしょう」とコメントしました。

ローソンのゴーストレストラン事業の参入により、さらに大きな変化が訪れることが予想されます。

コンビニの店内調理は諸刃の剣-他社との差別化となり得るか

ローソン以外にも店内調理に力を入れているコンビニとしては、北海道を中心に展開する「セイコーマート」や外食大手のゼンショーが群馬県ではじめた「さくらみくら便利店」が挙げられます。

いずれもコンビニという業務形態上、店内スペースには限りがありますが店内調理を可能とした背景には調理機器の進化が関係しています。セイコーマートでは1台で蒸す・煮る・焼くなどの複数の調理方法が実現できる多機能な加熱調理機器スチームコンベクションオーブンを導入し、さくらみくら便利店では専用の解凍機を用いてお湯を使わずできたての麺を製造することが可能です。

一方でセブンイレブンやファミリーマートではこのようなサービスは行っていません。その理由として、ただでさえ確保が難しくなっている店員のオペレーションが増えることや、ハイテクな厨房機器を設備投資として回収できるか不安が残ることが挙げられます。

コンビニの店内調理は他社との差別化として有効ですが、諸刃の剣となり得るため今後の各社の展開に注目です。

〈参照〉セコマ、ローソン、さくらみくら… 弁当チェーンを揺るがす「コンビニ」店内調理の秘密兵器は

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