2022年4月から施行される「プラスチック資源循環促進法」の存在もあり、各種企業はプラスチック資源の取り扱いを見直す時期にきています。そんななかで、大日本印刷と東京食品機械はプラスチック使用量を90%削減する「密封紙トレー」を開発しました。
今回は、密封紙トレーの概要や3つのメリットについて見ていきましょう。
プラスチック使用量を90%削減「密封紙トレー」
大日本印刷と東京食品機械の共同開発によって生まれた「密封紙トレー」は、プラスチック使用量をおさえながら酸素バリア性と密封性を併せ持つ紙製のトレーです。パッケージと包装システムにおける両社の開発力をかけ合わせたものであり、惣菜や冷凍食品業界などに向けて提供していく予定となっています。
密封性を活かし、持ち運びの際に内容物が漏れない設計とし、さまざまな場面で扱いやすいパッケージを目指します。加えて、電子レンジにも対応し、食器代わりにトレーを使用する「即食」も可能とする計画です。
密封紙トレーの3つのメリット
従来のプラスチック製のトレーと比べた際の、密封紙トレーのメリットとしては次のようなものが挙げられます。
・プラスチック使用量の削減(90%)
・内容物の消費期限の延長
・フードロスの低減
トレー部に紙を使用することで、トレー単体でプラスチック使用量を約90%削減可能です。また、適切に管理された森林資源で製造する「森林認証紙」を使用し、環境保全にも配慮する予定です。
密封紙トレーはこれまで紙容器では困難だった密封性の実現を目指しており、食品の参加や微生物などの増加を抑制する「ガス置換包装(MAP)」を可能とします。これにより、内容物の消費期限延長、フードロス低減などの課題解決にも貢献します。
SDGsの取り組みとして拡大予定
密封紙トレーは、26年度には包装材料で10億円、包装システムは20台の販売を目指しています。
大日本印刷では2020年3月に「DNPグループ環境ビジョン2050」を策定し、暮らしに身近な食品・日用品などの包装材の環境配慮に努めてきました。「COの削減」「資源の循環」「自然環境の保全」という3つの価値を社会に提供するオリジナルのパッケージングとして「GREEN PACKAGING」を展開しています。
このような取り組みは、大企業のみならずすべての企業にとって対策すべき課題となっているといえるでしょう。いまや、SDGsに通じる取り組みは、企業が取り組むべき重要な課題の一つです。