近年、多くの企業が取り組み、注目を集めているSDGs。「持続可能な開発目標」を意味する用語であり、地球環境存続のための最終目標ですが自社にはあまり関係がないと考える方も少なくありません。しかし、今後の企業活動においてSDGsの存在は欠かせないものとなっています。
今回は、2021年12月9日、10日に行なわれたマーケティングカンファレンス「マーケティングアジェンダ東京2021」から、「SDGsをどうマーケティング活動につなげるのか」というテーマで語られた内容から、SDGsとマーケティングの関係性について見ていきましょう。
SDGsを実施するにあたり重要なこと
「SDGsを実施するにあたり、結局自己満足で終わらせないようにするにはどうしたらいいのか」という問いに対して、日本HP経営企画本部マーケティング推進部部長の甲斐氏は次のように答えました。
「とにかくビジネスに紐付けること。SDGsの17項目の中にガバメントは存在しない。広報的なCSR的活動で終わらせることなく、ESG的な視点で実施し、結果SDGsになっているということが大事である」
サステナビリティ(持続可能性)には5つの圧力があるとされており、企業が率先的にやるわけではなく、半強制的に必要に迫られて対応するケースが多いといわれています。
・国際基準/ステークホルダーとの関係性でやらないといけないこと
・金融機関、投資家へのESG投資への対応
・サプライチェーン/従業員への対応
・顧客/取引先からの期待、もしくは不満
・企業間競争
SDGsは単に環境保護だけを目的としたものではなく、SDGsの取り組みを通して企業として成長することが重要であると取れるでしょう。
サステナビリティとマーケティングの関係性
サステナビリティに対する消費者行動のアンケート調査によると、次のような結果となっています。
・6~7割は地球温暖化問題に取り組む企業の商品やサービスを積極的に購入したいと思う
・実際に購入したのは2~3割
・ファッションは一度買うと9割は継続意向、友達にも4割話す
7割の消費者はサステナビリティに関心がありますが、実際に購入に至るのは3割程度であり、この4割の差分は次のようなマーケティングの問題といわれています。
・売り場がない、価格が高い
・情緒的価値(持ちたくなる意味)が請求できていない
・サステナビリティ価値(全員にいいという意味)が請求できていない
このような問題に対して、adidasとNGO Parleyは連携してデザインや機能をレベルアップさせ、価格の妥当性を演出することで「cross value」を生み出し、解決する事例が紹介されました。
「選ばれない理由」「買われない理由」にならないことが大事
いまやサステナブルのマーケティングは「選ばれない理由」にならないことが大事であり、サステナブルでないと「買われない理由」になってしまうと駒沢大学の青木教授は語りました。
さらに、「サステナビリティで大事なことは『買う理由』になるのではなく、『買わない理由』に選ばれないことです」と続けており、サステナビリティはブランド価値に影響を及ぼしているとのこと。
多くの企業がSDGsに取り組む背景には、このような背景もあることを覚えておきましょう。