食品を扱う小売店にとって食品ロスは非常に大きな課題です。そんななか、イトーヨーカ堂などの7社が共同で食品ロスをDXで解決する実証実験を開始しました。今回は、新たに実施される食品ロスをDXで解決するための3つの実証実験について紹介します。
1月12日から3つの実証実験を開始
日本総合研究所、イトーヨーカ堂、今村商事、サトー、シルタス、凸版印刷、日立ソリューションズ西日本は、1月12日に食品ロス削減に関する実証実験を開始しました。
実証実験はイトーヨーカドー曳舟店で行なわれ、3つの実験を行う予定となっています。今回の実証実験は経済産業省委託事業「2021年度 流通・物流の効率化・付加価値創出に係る基盤構築事業(IoT術を活用した食品ロス削減の事例創出)」を一部活用し、2022年1月12日~31日、2月9日~28日に実施されます。
実証実験1:青果物の産地からの情報提供による販促
実証実験1は、産地で生産者が入力した青果物の情報を販促用に加工し、店頭のデジタルサイネージや電子チラシアプリ(Shufoo!)を通じて発信するものです。ミニトマトやなめこ、ほうれん草で実験が行なわれ、産地情報だけでなくレシピも配信し、消費者の購買行動の促進が期待されています。
青果物の流通状況は生産出荷時にコンテナに取り付ける凸版印刷の電子タグ(ZETag)を通じて、卸売業者、小売店舗での入荷時に把握します。電子タグを通じて青果物の流通状況をリアルタイムで追跡しながら、消費者への販促を適切なタイミングで提供することが可能です。
実証実験2:ダイナミックプライシングによる売り切り促進
実証実験2は、賞味・消費期限別に在庫を可視化し、電子棚札を活用したダイナミックプライシングを導入しています。電子棚札によるスタッフの負荷軽減と売り切りの効果について検証する予定です。
従来は1SKU=1価格であったところを、1SKUを賞味・消費期限別の複数の価格にわける方式を採用します。商品の入荷時に賞味・消費期限別のコードが印字されたラベルの発行には「サトー・ダイナミック・プライシング・ソリューション(SDPS)」を利用します。
実証実験3:健康を軸に生活者が参加する食品ロス軽減策
実証実験3は、「健康」を価値とした食品の購入・調理・保管のDX支援による食品ロス削減を目指す実験です。
実験の参加者には購入した商品にBluetoothタグを添付してもらい、自宅の在庫状況を可視化することでDX支援を実現します。日立ソリューションズ西日本の重量センサを自宅に設置し、商品を使用後に計量することで在庫の減少も把握可能です。
専用のアプリも用意されており、在庫からレシピを提案したり、キャラクターを育成しながら栄養面を改善するためのアドバイスを受けたり、自宅の在庫状況に応じてクーポンを配布したりと、さまざまな支援を実現します。