RaaS(Retail as a Service=サービスとしての小売)のパイオニアとして、小売業界に革命を起こす存在として期待されているb8taが登場し、体験型店舗の存在は多くの方に認知されるようになりました。近年ではショッピングセンターなどの商業施設を中心に体験型店舗が増えていますが、いくつかの課題を抱えています。
今回は、急増する体験型店舗が抱える課題と併せて、b8taの取り組みから見る小売業DXのポイントについて見ていきましょう。
急増する体験型店舗の課題
D2Cの注目度が増したことや、商業施設におけるテナント入居率の低下の対策として百貨店やショッピングセンターなどの商業施設を中心に体験型店舗が急増しています。体験型店舗は体験価値に加えて売る以外のマネタイズ手段を持つRaaSです。
体験型店舗の本来の目的は「理想的な形で商品を体験してもらうこと」にありますが、多くの体験型店舗ではそれが実現できていません。例えば、商品を陳列してタブレットなどを設置し、QRコードが掲載されていて「SNSでシェアしてください!」というメッセージがあるだけで、商品についてスタッフは把握できていないなど。
新業態・新しい取り組みとして取り入れられていますが、場の認知拡大に注力しすぎて商品そのものに注目してもらうための取り組みができていない場合が多いといえます。
b8ta日本3店舗目「渋谷店」からみる体験型店舗のポイント
RaaSのパイオニアとして2020年8月に日本に初上陸したb8taでは、どのような取り組みが行われているのでしょうか。
b8taは日本では有楽町・新宿・渋谷の3箇所に店舗を構えています。3店舗目となる渋谷店では、新たな試みとして4つのポイントが挙げられます。
- 店舗前の半径約15mの人の流れを把握する3D LiDARセンサーの設置
- 水回りを用意してカフェスペースを新設するとともに、試食を可能にした
- 什器類の可動化によるフレキシブルな陳列変更が可能に
- 新開発のアプリの提供
b8taでは店内の顧客の行動データや製品フィードバックなどを提供しており、今回の新たな試みではそれらのデータ活用をより広範囲に実現できるものです。特に新しいアプリではタブレットを利用せずにQRコードを読み込むことで必要な情報を取得でき、アプリを活用してクーポンなどの発行もできます。
アンケートなどに答えてもらうことによって出品企業へのフィードバックも取得でき、タブレットをなくすことで面積あたりの出品数を増やすことも成功しています。b8taスタッフは出品商品に関しての疑問にもすぐに答えることができ、「理想的な形で商品を来店客に体験してもらう」ために従来どおりの接客も重視。
出品者に体験の結果をより多くフィードバックするという挑戦を行なう店舗であり、体験型店舗として成功するためのポイントになっているといえるでしょう。