フィットネス向けのウェアラブル機器を開発・販売するフィットビットは、同社が関わる医療や研究分野などについての最新情報を発信するオンラインイベント「Fitbit Wellness Day Tokyo 2021」を開催しました。そのなかでは、アメリカの医療における遠隔治療が急拡大していることがわかっています。
今回は、アメリカで急拡大する遠隔治療の理由と併せて、日本における遠隔治療の今後について見ていきましょう。
コロナ禍で7割近くが遠隔治療に移行
アメリカでは、コロナの影響によって遠隔治療の割合が6割から7割近くにまで急速に拡大しており、もうもとには戻らないと言われています。米国において遠隔治療はすでに必須となり、医療アプリのダウンロードも急増しました。コロナ前と比べてダウンロード数は4,000%も増加しています。
手術や薬以外の治療方法としてデジタルによる治療方法が注目されており、精神疾患などは医療用アプリなどとの相性が良いことからもデジタル治療の取り組みが積極的に進められている状況です。
アメリカで遠隔治療が急拡大する理由
アメリカでは2021年11月も1日平均1,200人の死者が出ており、日本での同時期の平均死亡者数が8人であることからも事態の深刻さが見て取れます。アメリカと日本の大きな違いとして、マスクの着用有無が挙げられました。
日本では外出時にほとんどの人がマスクを着用しますが、アメリカではこのような状況のなかでもマスクを着用しない人が大勢いるとのこと。マスクを着用することに抵抗のない日本では、人口の多い先進国のなかでも極めて低い水準を保っています。
こうしたなかでアメリカでは医療のDX化に注力し、診療報酬の見直しや公的保険が遠隔地料に保険をつけたことから急速に拡大することとなりました。アメリカでもコロナ直前における遠隔治療の普及率は1%程度で日本と同等でしたが、今では非常に大きな差が生まれることとなっています。
日本における遠隔治療
アメリカでは医療保険に入っている人でも医療費が払えずに自己破産する人が相次いでいます。遠隔地料のほうが医療費は安い点も、アメリカで遠隔治療が急拡大した理由の一つです。
日本では医療費で自己破産する人はまずいません。対面における医療費もそれほど高くない日本では、このような理由からも遠隔治療が普及しないとみられています。しかし、日本でも遠隔治療のニーズがないわけではありません。日本は先進国のなかでトップクラスの高齢化社会であり、2060年には高齢者の割合が38.1%と予測されています。
日本でもコロナ禍で医療崩壊に近い状態が発生しました。国民の多くが長寿となった現代では、病気になる前の予防医療が重要であり、その方面での遠隔治療の普及が期待されています。