長野県伊那市とゼンリンは、2021年11月16日からドローンを活用した新たな公共配送サービスを開始しました。もともと2020年8月から自治体運営によるドローン配送サービスを実施していましたが、今回のサービスでは10km以上の配送エリアを拡大します。
今回は、長野県伊那市とゼンリンが実施するドローン配送サービスについて見ていきましょう。
2020年8月から実施されているドローン配送サービス
長野県伊那市とゼンリンは、2018年から「INAドローン アクア・スカイウェイ事業」として中山間地域における買い物支援の実証を重ねてきました。人口減少や少子高齢化にともない、中山間地域の買い物困難者が増加していることを受け、地域住民や地元企業と連携して高精度な3D地図データを活用することで「空の道」を整備しています。
配送経路は伊那市を流れる三峰川と美和湖上空域にドローン専用の空路を形成し、日用品配送などによって地元住民の買い物の利便性向上と地域経済の発展を目指しています。
ドローン配送サービスの仕組み
長野県伊那市のドローン配送サービスは、買い物の注文から決済までをケーブルテレビのリモコンを使用して実現しています。2020年8月から「ゆうあいマーケット」として運用されているサービスは、電話を利用した注文も可能であり、次の流れで配送を実現しています。
- ケーブルテレビや電話で商品を注文
- 配送元のスーパーが商品をピッキング、サービス担当者がスーパーで商品を受け取る
- 道の駅「南アルプスむら長谷」のドローンポートからドローンによる配送を開始
- ドローンは空の道を利用し、利用者宅周辺の着陸地点へ飛行
- 各地区のボランティアがドローンから商品を受け取り、利用者宅へ届ける
サービス開始当初は道の駅から6.6kmの範囲が対象エリアとなっていましたが、今回の配送エリア拡大によって最大で10.3kmの地区への配送が可能となりました。
高精度な3D地図データと衝突判定アプリで安全な空の道を形成
2018年から長野県伊那市とゼンリンが重ねてきた実証実験により、高精度な3D地図データを活用した安全かつ長距離のドローン飛行を支援する「空の道」が形成されました。さらに、高精度な3D地図データを活用した「衝突判定アプリ」を開発し、飛行ルート付近の障害物の有無をドローンの離陸前に確認することが可能です。
将来的には複数台のドローンが同一空間を飛行することを想定しており、今後の実用化に向けた環境構築が行われています。
