厚生労働省は11月に雇用調整助成金、休業支援金の特例措置の内容を2021年1月から段階的に縮小することを発表しました。今回は引き下げ内容について見ていきましょう。
なお、地域特例や業況特例には今回の引き下げは適用されません。
上限日額の段階的引き下げに至った背景
雇用調整助成金は、事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が従業員を休業させる際に支払う休業手当などの一部を助成する制度です。2020年2月から2021年11月12日までの時点で、雇用調整助成金の支給額は4兆8000億円にも上り、長引くコロナ禍で財源が逼迫しています。
コロナの感染拡大防止と経済活動の両立に向けて動き出したタイミングで、支給内容を見直すこととなりました。
22年3月には9000円まで減額
今回の引き下げ対象は雇用調整助成金の一人あたりの助成上限日額です。
12月末までは一人一日あたり1万3500円ですが、2022年1月・2月には1万1000円、3月には9000円に減額されることとなっています。あくまでも減額されるものは助成上限日額であり、助成率は変わりません。
助成率は解雇などを行っていない企業が従業員を休業させたり、教育訓練をしたりする場合、中小企業で9/10、大企業で3/4となっています。解雇などを行っている企業の場合は中小企業で4/5、大企業で2/3です。
特例措置そのものは22年3月末まで継続
雇用調整助成金の特例措置そのものは2022年3月末まで継続されます。また、「地域特例」や「業況特例」は引き下げの対象外であり、原稿の内容が維持されます。
地域特例は、緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の対象地域で、時短営業などに協力している事業主を対象としたものです。業況特例は直近3ヶ月の平均売上がコロナ前と比べて30%以上減少した事業主を対象としています。
注意したい点として、業況特例を利用している場合には業況の再確認のために売上等の書類の再提出が必要になります。12月末まで業況特例を利用しており、判定基礎期間の初日が2022年1月1日以降の休業等について申請を行う場合に必要です。
詳しくは「令和4年3月までの雇用調整助成金の特例措置等について(予定)」をご確認ください。
アフターコロナを見据えて状況が変わりつつあります。助成制度を十分に活用しつつ、アフターコロナに向けた事業継続のための施策の準備を整えましょう。