2021年1月末にウォルマートはデジタル広告を扱う部門を「Walmart Connect」として再編し、取り組みを強化していくことを公表しました。世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートがデジタル広告に注力する理由とは何でしょうか?
今回は、Walmart Connectの概要からウォルマートのデジタル広告に注力する理由などについて見ていきましょう。
Walmart Connectとは?
Walmart Connectは、ウォルマートのデジタル広告を扱う部門の名称、またはその製品プラットフォームです。消費者が広告に影響されて対象の商品を購入したかどうかのデータに対して、広告主が小売事業者に対価を支払う考え方に基づいています。
デジタルマーケティングを内製化する目的で再編された部門であり、取引先であるメーカーなどに対して、ウォルマートの店舗やウェブサイトで掲出するデジタル広告を提供します。
ウォルマートがデジタル広告内製化に踏み切った狙い
ウォルマートがデジタル広告の内製化に踏み切った狙いとしては、次の3点が挙げられるでしょう。
- デジタル広告の分野がビジネスとして伸びると考えている
- サイト内のデジタル広告で収益を上げるアマゾンへの対抗
- 店内メディアを利用して消費財メーカーが求めるデジタル広告のパッケージを開発して提供すること
ウォルマートはスーパーマーケットチェーンでありながら、非常に積極的にICTを活用してデジタル化を進めています。店舗には壁面や決済端末などに広告を表示できるディスプレイが合計で17万台ほどあり、広告媒体として活用可能です。
ウォルマートの強みである顧客へのリーチと併せて、他のライバルとの差別化を図る目的でWalmart Connectによるデジタル広告の内製化に注力しています。
大きく成長するウォルマートの広告事業
ウォルマートの2021年8月17日の決算説明会で、アメリカにおけるウォルマートの広告ビジネスがほぼ2倍になったことが公表されました。加えて、出向している広告主の数は前年比で175%増、売上高は前年比95%増となったとのこと。
Walmart Connectは当初の狙い通りに大きく成長しており、ウォルマートの最高財務責任者のブレッドビッグス氏は「Walmart Connectは急速に拡大し、利益率が高く、将来に向けて積極的に投資するための柔軟性を与えてくれるビジネス」とコメントしました。
変化が激しいデジタルの分野で、Walmart Connectは「アメリカでトップ10の広告プラットフォームを目指す」としており、今後も急速に成長することが予測されます。