新型コロナウイルスの影響により、消費者の行動は大きく変化してきています。そのうちの一つに外出を控え、自宅で調理して食事を済ませる消費者の増加によって「食のEC」の重要性が高まっています。ニーズが高まるネットスーパーを成功させるために必要なことは何でしょうか。
今回は、ネットスーパー需要の高まりと併せて、ネットスーパーの今後について触れていきます。
コロナによる「内食消費の増加」で好調なスーパー
新型コロナウイルスにより、消費者は外食を控えて自宅で調理して食事を済ませることが多くなりました。そんな「内食消費の増加」によって、内食商材を主戦場とする食品スーパーはコロナ禍においても好調をキープしています。
さらに、そんなスーパーにおいても消費者行動の変化の影響で、ネットスーパーの需要が急激に増えています。イオンリテールやイトーヨーカ堂、ライフコーポレーションなどの大手スーパーでもネットスーパーを強化しており、食のEC化が加速している状況です。
拡大するネットスーパーの需要
コロナ禍以降にネットスーパーサービスに新規登録する消費者は急増しており、イオンリテールでは2020年3月~8月の新規登録者は前年同期比で約3倍に伸長したとのこと。このような状況下でネットスーパーを強化する企業が増えており、急増したオーダーに対応しています。
しかし、そんななかでも業界関係者へのインタビューでは「食のECシフト」に関しては意見が分かれました。ネットスーパーの需要は今後も増えるという意見と、アフターコロナにおける「揺り戻し」が発生するという意見があるのです。
とはいえ、コロナ収束が見えない現在、ネットスーパーの需要はまだまだ伸びることが予想されます。「すべてのスーパーがEC化を進める必要はない」とコメントする業界関係者もいますが、地域や企業のEC化実施状況によってネットスーパーを含めたECの強化を検討する必要があるでしょう。
ネットスーパー成功の鍵は「配送」にあり
需要が高まるネットスーパーですが、国内のネットスーパーの多くは事業全体で黒字の企業はひと握りであると言われています。その理由として、リアル店舗とネットスーパーで利益を残す仕組みが異なる点が挙げられます。
ネットスーパーの主なコストとなる配送費は変動費となり、受注件数が増えて売上が増加したとしても、多くの利益を残せるとは限らないのです。そのため、ネットスーパーの成功の鍵は「配送」にあると言えます。
国内ネットスーパーの多くは配送をサードパーティに委託していますが、BOPISなどのアプローチも検討すると良いでしょう。BOPISは店舗受取サービスであり、海外では主流になりつつある配送の新たな形です。
今後ネットスーパーを強化していく企業は規模に関係なく、小規模でも利益を確保可能な仕組みを構築していけるかどうかが成功の鍵となるでしょう。
〈参照〉ネットスーパー&宅配……加速する食のECシフト 成功の鍵は「配送」にあり!/DIAMOND Chain Store