愛知県名古屋市でリアルとバーチャルの垣根を超えた新たな取り組みが始まりました。NTTコミュニケーションズと三井不動産の共同実験で、久屋大通公園の一部エリアと店舗をデジタル空間上に構築し、さまざまなデータを使って顧客接点の拡大などを目指します。
今回は、NTTコミュニケーションズと三井不動産の共同実験について見てきましょう。
公園と8店舗をデジタル空間に構築、共同実験で目指すもの
今回紹介する共同実験は、2021年6月3日~12月31日の間で愛知県名古屋市の久屋大通公園の北エリア・テレビ塔エリアにおいて実施されます。公園のエリアや実店舗を「Hisaya Digital Park」としてデジタル上に構築。Hisaya Digital Parkは公園内の全長約900mをCGのVRによってバーチャル空間に実現します。
公園内エリアだけでなく、実在する8店舗も高精度カメラで360度パノラマ撮影した映像でバーチャル店舗化し、店舗ごとのサービス情報や動画コンテンツを視聴可能です。ユーザーはパソコンやスマホ、タブレットでいつでもどこでもリアリティのある久屋大通公園の散策が楽しめます。
今回の共同実験では、バーチャル店舗の運営を通じてリアルとバーチャルの垣根を超えて位置情報データや来店データなどを統合的に分析し、「周辺エリアの回遊性の向上」や「新たな顧客体験の想像」を目指しています。
出店者の顧客接点強化への有効性を検証
共同実験の目的としては顧客体験の向上が挙げられますが、それ以外にも実店舗とバーチャル店舗上の来店情報などを統合し、顧客のライフスタイルを可視化することでリアルとバーチャルの相互送客による出店者の顧客接点強化への有効性の検証も含まれています。
公園内における来園者層の違いや行動パターンを分析することで、顧客へのよりきめ細やかなサービス提供が実現できるのです。この結果は顧客の試行にあった店舗で飲食・ショッピングなどが楽しめる空間形成に利用されます。
今後は対象店舗や公園近隣施設への拡大も予定
今後は対象店舗や公園近隣施設への拡大も予定されており、バーチャル空間を活用したイベントなども検討しているとのこと。リアルとバーチャルを融合した新しい顧客体験や価値の創出・向上を検討しています。
リアルとバーチャルの垣根がなくなることで、店舗側はより多くのデータを収集して顧客に最適なサービスを提供できるようになります。今回の共同実験のような事例は少しずつ増えてきており、顧客にとって今後の新たな生活様式の一部になるかもしれません。