コンビニ大手のファミリーマートは1989年にPOSレジを導入して以降、幾度ものデータ戦略のための施策を実施してきました。これらの戦略は、顧客最適な提案を実現するためのデータ収集・活用が目的です。
今回は、ファミリーマートが実施するデータ戦略・分析の歴史とともに、それらの効果について見ていきましょう。
ファミリーマートのデータ分析の歴史
ファミリーマートがデータ分析のためにこれまで行ってきた施策はおもに次のとおりです。
- POSレジの導入
- ファミマTカードの導入
- ファミペイ、ファミペイ決済の導入
- 広告事業企業データ・ワンの設立
POSレジの導入では各店舗で売れた商品と売れた時間がわかるようになり、欠品ロスと廃棄ロスを大幅に削減することに成功しました。ファミマTカード導入に際しては、Tポイントの運営会社であるカルチュア・コンビニエンス・クラブと協業することで、会員情報に紐付いた購買情報を取得できるようになり、消費者行動を深く分析できるように。その結果、ファミマTカードを持っている人とそうでない人では店舗への月間来店数に倍以上の差がついたと言われています。
その後、デジタル化への対応のためにファミペイが開発され、リピート客やお得意様の獲得につながり、データ・ワンの設立によってより詳細なデジタル戦略が打ち出せるようになりました。
ファミペイを導入した狙い
ファミペイを開発するにあたり、アプリの開発チームはその目的を「ロイヤルカスタマー、つまりお得意様になっていただくためのアプリ」として開発を進めました。コンセプトとして「お得」「便利」「楽しい」をアピールし、顧客視点に徹底的にこだわることで特に「簡単」という点を重視したとのこと。
ファミペイだけですべてが完結するように自社マネーのファミペイ決済も導入し、目的にそぐわない機能はすべて排除しています。最終的に残った機能は電子レシート・クーポン・簡単なゲーム・スタンプ機能のみとなりました。
ファミペイによってファミリーマートではリピート客をしっかりと確保できるようになっています。
新規顧客を獲得するために生まれたデータ・ワン
ファミペイによってリピート客は獲得できましたが、新規顧客の獲得のためには別の施策が必要でした。テレビ広告を打っても反応する消費者は一部であり、効率的なコミュニケーションを取るために設立された企業が「データ・ワン」です。
データ・ワンは、ファミリーマート・伊藤忠商事、NTTドコモ、サイバーエージェントの4社による合弁会社です。アライアンス事業として1社ではできないことを共同で以下に達成するか、どのように効率的にビジネスを成功させるかを目的に動いています。
例えば、NTTドコモのスマホユーザーへのアプローチや、サイバーエージェントが持つAbema TVなどのプラットフォームを活用することも可能になりました。データ・ワンでは今後ドラッグストアなどのチャネルとアライアンスを組めないか模索しているところです。
ファミリーマートのデータ戦略は多くの企業にとって参考にできる点が多いといえるでしょう。今後もファミリーマートのデータ戦略の行方に注目です。