コンビニ大手のローソンは10月26日に、会員データとAIを活用したレシートやローソンアプリへの広告配信事業を2022年3月から開始することを発表しました。顧客のニーズに即した商品情報を提供するために、個々の価値観に合わせた広告訴求を行うことを目的としたものです。
今回は、ローソンが実施するAIを活用した広告配信について見ていきましょう。
8月の実験では購入率12倍を達成
ローソンでは8月17日~30日にレシート広告を活用した新商品実験を行いました。
実験では会員全体の平均購入率に対して、レシート広告を出した場合は12倍の購入率となったことを公表しています。AIを活用したレシート広告の効果がいかに高いかが分かる結果といえるでしょう。
高い効果を発揮するAIレシート広告とはどのようなものなのでしょうか。
AIを用いたレシート広告の仕組み
ローソンは以前から、会員データの購買情報や性別・年代・価値観から対象となる商品に興味を持ちそうな顧客を予測し、割引券などをレシートに印字する訴求を行っていました。AIレシート広告では、より興味を持ちそうな会員と価値観特徴をAIで抽出し、個々の顧客の価値観に合わせた広告デザインやキャッチコピーを用いたレシートを発行します。
例えば、トッポの新商品に対して、新しいことへの興味が高い顧客に対しては「えっ!?トッポがさつまりこ味!?」「初コラボ」などの興味を引くキャッチコピーなどを利用するといった形です。
これまでは購入者層に多い年代や価値観に基づいて広告を打ち出してきましたが、AIが構築した購入確率予測モデルを活用することで、より対象者の価値観特徴に合わせたレシート広告が発行できるようになります。
一人ひとりに最適な訴求が求められる時代へ
インターネットが発達し、誰もが多くの情報を手に入れられるようになったことで、大衆向けの広告は個人に刺さりづらくなっています。情報があふれる現代において、常に情報を取捨選択する私たちは「自分自身」に向けられた情報でない場合はすぐにその情報を捨ててしまうからです。
多くの消費者が「自分自身」に向けられた情報にしか見向きしないため、一人ひとりに合わせた最適な訴求が必要不可欠となっています。AIを活用し、その精度を高めることは今後特に重要となってくるでしょう。