近年、注目を集めるからあげ専門店。そのなかでも、「和民」などのチェーン店を手掛けるワタミ株式会社が運営するフランチャイズチェーン「から揚げの天才」は破竹の勢いです。から揚げの天才は2020年4月時点では6店舗でしたが、2021年8月には110店舗となり、1年で100店舗を突破しています。
今回は、から揚げの天才がヒットした理由とノウハウについて見ていきましょう。
から揚げフランチャイズは継続しやすい
から揚げの天才は揚げたてのから揚げと、テリー伊藤氏プロデュースの卵焼きをイートイン・テイクアウトで販売する専門店です。実質から揚げと卵焼きの2種類しかメニューがないため、他の飲食店に比べてコンパクトな設備、スペースで運営が可能です。
そもそも飲食店の場合、参入障壁は低いものの「3年で7割が入れ替わる世界」であり、事業を継続することが難しいと言われています。しかし、シンプルかつコンパクトに始められ、主商品も国民食とも言えるから揚げであれば、他の飲食店などと比べて顧客満足を左右する要素が少なく、「誰がやってもうまくいく可能性が高い」ビジネスとして注目されています。
計算しつくされた主商品の存在
から揚げの天才で販売されるから揚げは「1個60gで99円」です。このから揚げには、ワタミがこれまで培ってきたさまざまなノウハウが詰め込まれています。居酒屋においてもから揚げの存在は、人気トップにはならないものの常に3~5位に位置する定番メニューであり、「居酒屋の店内をみればどのテーブルにも1皿はから揚げがある」と言われています。
そのため、から揚げの出来は売上を左右する要素と見られており、ワタミでは衣やタレの味、製法、素材や盛り付けなどを細かく調整しながら提供してきました。そのノウハウは「1個60gで99円」に集約されています。
他店では1個30~40gが一般的であり、販売方法もグラム売りが多く見られます。しかし、肉が大きいとジューシーに仕上がること、グラム売りでの分かりづらさ、などからユーザー体験を重視した結果、「1個60gで99円」のから揚げが生み出されました。
さらに参入障壁を下げる工夫
その他にも、「2年で投資回収が可能なモデル」として駐車場3台分のスペースがあれば開店できるコンテナ型の「999万円出店モデル」をリリースしたり、2021年7月には「380万円出店モデル」をリリースしたりするなど、さらに参入障壁を下げる工夫も実施。
参入障壁の低さと継続のしやすさ、計算されつくされた商品設計こそが、から揚げの天才がヒットした大きな理由となっています。