近年、ドラッグストアの食品販売などの例に見られるように、食品スーパーの競合としてさまざまな業種が台頭してきています。食品スーパーは全体としては、新型コロナウイルスの影響で売り上げを伸長しているものの、今後の対応は非常に気になるところです。
今回は、食品スーパーの現状から、今後求められることについて触れていきます。
食品スーパーの売り上げは伸長している状況
日本スーパーマーケット協会の調べによると、2020年2月以降の食品スーパー270社の既存店売り上げ高は5ヶ月連続で前年をクリアしたとのこと。その背景には、新型コロナウイルスの影響による巣ごもり消費や内食需要の増加が要因として考えられます。
しかし、新型コロナウイルスの影響は今後もどのように作用するかわからず、ドラッグストアなどの異業種との競合の激化、人手不足、物流費高騰など、食品スーパーが抱える課題は多い現状です。
競争が激化する食品スーパーの現状
そんななか、食品スーパー各社はさまざまな施策を進めています。クスリのアオキホールディングスは、金沢市で食品スーパーを5店舗運営するナルックスを買収し、アオキの大型店の鮮魚テナントとして運営する予定です。この買収は生鮮食品の販売強化を図るものであり、競合との差別化のために実施されるものと考えられます。
そのほかにも、兵庫の関西スーパーマーケットは地道に新型フォーマットへの改装と社内構造改革を進めており、その成果もあって5期連続で既存店売上を伸ばして増収増益を続けています。
さらに、食品スーパーと総合スーパーを統合する動きも強まっており、イオングループは地域ごとに売上高5,000億円規模の各地域の食品スーパーの統合を進めながら、総合スーパーの改修・収益改善を進めているのです。
食品スーパーの統廃合や既存店の構造改革など、まさに食品スーパーは転換期を迎えていると言えるでしょう。
食品スーパーは独自の価値が問われることに
近年では福岡県のコスモス薬品や福井県のゲンキーなどのドラッグストアが食品の販売強化を推し進めています。食品スーパーは従来のままでは競合との差別化が図れず、変化しなければ淘汰されることになるかもしれません。
和歌山県のオークワや愛知県のヤマナカなどの食品スーパーでは、社内の改革とあわせて「自社らしさ」を全面に押し出した商品開発・プライベートブランドの立ち上げといった商品改革も進めています。
今後の食品スーパーは、単純に食品を売る店としてだけでなく、独自の価値が問われることになるでしょう。