新型コロナウイルスの影響によって、世界的に多くの企業が店舗の休業などの対応が必要となりました。そんななかで、顧客との結びつきを強めるための方法として、AI(人工知能)やAR(拡張現実)が注目されています。
今回は、AI・ARなどのデジタル技術を販売に活かす3つの新興企業を紹介します。
ブランドと顧客をつなげる「デジタルチャネル」が注目されている
従来、ブランドは顧客と繋がるデジタルチャネルの手段として、WebサイトやSNSを中心に活用してきました。主に実店舗に頼ってきた企業においても、これらのデジタルチャネルは今回のコロナ騒動によって、より重要性を増してきたといえるでしょう。
デジタルチャネルは次々と新たな技術を用いて増えており、今までになかった便利なサービスは消費者に新たな消費体験を与え、ブランドの評価を上げることに繋がります。しかし、多くのブランドはこのようなデジタルチャネルをはじめから持っているわけではありません。
多くは新興企業などとの連携によって実現しており、今回は今後注目されると思われる新興企業について紹介します。
アテンティブ・モバイルのモバイルメッセージング
アテンティブ・モバイルはアメリカのニューヨークを拠点とする企業です。モバイルメッセージングを通じて小売やブランドと顧客をつなぐサービスを展開しています。
カートに入れたまま決済されていない商品や、セール商品・おすすめ商品などを顧客に対して個別にメッセージを送ることで販促するサービスです。
アメリカでは「コーチ」や「パクサン」といった企業が利用しています。アテンティブ・モバイルによれば、自社サービスを使っているブランドは顧客あたりの売上高が電子メールによるキャンペーンと比べて、最大10倍に増えるとのこと。
パーフェクト・コープのARバーチャルメイク
パーフェクト・コープはアメリカのカリフォルニアを拠点とする企業で、バーチャルメイクのARツールなどの美容プラットフォームを提供しています。動画のライブ配信でメイクレッスンを提供したり、ARで試せる商品を利用者にすすめる機能を支援したりしているのです。
今回のコロナ騒動では、顧客のバーチャルメイクの利用は3割ほど増えており、ライブ配信の閲覧時間は2倍に増えているとのこと。ARツールは美容アイテムのコンバージョンを増やす手段として効果が実証されていることをご存知でしょうか。
たとえば、フランスの「ロレアル」では、2019年にARでメイクを試した顧客の購入率は、そうでない顧客と比べて10%高かったことを明らかにしています。
ニューストアのオムニチャネルサービス
ニューストアはアメリカのボストンを拠点とする企業です。受注配送システムやオムニチャネル機能などのプラットフォームを提供しています。
同プラットフォームでは店舗の店員がオンライン在庫にアクセスして、ネット注文の配送や返品などを店舗で処理することが可能となります。モバイルPOS技術を活用することで、店舗のデジタル化ができるのです。
ニューストアはアメリカの「ダイアン・フォン・ファステンバーグ」や「アウトドア・ボイシズ」などのブランドで採用されており、店舗とネットを融合させたオムニチャネルサービスを提供しています。