現在、アメリカでは牛乳の売上が急減しています。2019年11月には、アメリカの牛乳メーカー最大手「Dean Foods」が破産申請を行いました。アメリカでは牛乳から植物由来ミルクへと消費者の需要が変わってきているのです。
今回は、アメリカで牛乳離れが進む背景や、植物由来ミルク市場の拡大について紹介し、日本における牛乳離れについて述べます。
アメリカで牛乳離れが進む背景
アメリカでは1975年以来、国民一人あたりの牛乳消費量は40%以上減少しているとのこと。米国酪農家協同組合(Dairy Farmers of America)によると、2018年の牛乳の売上は前年に比べて、約11億ドルも減少したと発表されています。
その背景には、アレルギーや乳糖不耐症を持つ人だけでなく、健康志向の高まりや環境への意識向上などが挙げられます。そんな牛乳に変わる製品として、植物由来ミルクが注目されているのです。
参照元:No.1 milk company declares bankruptcy amid drop in demand(AP NEWS)
植物由来ミルク市場が拡大している
植物由来ミルクは、アーモンド・ソイ・ココナッツの3つが市場占有率の9割を占めています。なかでもアーモンドミルクは64%もの市場占有率があり、アメリカで非常に人気のあるミルクです。アーモンドミルクの販売額は、2018年で14.57億ドルに達し、2023年には18.75億ドルにまで成長すると予測されています。
アーモンドミルクは牛乳と比べて低カロリーであり、低糖質な飲み物。さらにビタミンEやミネラル、食物繊維が豊富など、健康志向の消費者に好まれる傾向にあります。アメリカの大手食品スーパーでは、牛乳よりも植物由来ミルクのコーナーのほうが大きく、販売価格も1.5~2倍程度で販売されているとのこと。
消費者の需要にあわせて、アメリカでは徐々に牛乳から植物由来ミルクへと移り変わっているのです。
今後日本でも牛乳離れが進む?
アメリカでは牛乳離れが急速に進んでいますが、日本ではどうでしょうか?農林水産省の報告によれば、牛乳の生産量は2015年度以降、増加傾向にあります。2004年度以降は減少傾向にありましたが、現状は回復の兆しがある状態です。
このことから、日本においては牛乳メーカーや酪農家に今すぐ影響が出ることはないといえるでしょう。しかし、アメリカの牛乳離れ情勢がいつ日本に影響を与えるかはわかりません。日本でも植物由来ミルクの認知度は高まりつつあるため、今後の動向に注目です。
参照元:最近の牛乳乳製品をめぐる情勢について(農林水産省)
〈参照〉アメリカ、牛乳離れの一方で植物由来ミルクが急拡大する事情と最新トレンド/Diamond Chain Store