画像:養老乃瀧より
居酒屋チェーンを展開する養老乃瀧が、ロボットと人が協働できる現場オペレーションの開発などを目的とした実証実験「ゼロ軒めロボ酒場」を、2020年1月から開始しています。この実証実験は3月19日までの期間限定ですが、飲食業界の深刻な人手不足解消のきっかけになるかもしれません。
今回は、養老乃瀧が行う実証実験の概要や目的とあわせて、次世代型飲食店について触れます。
ロボットがお酒を作る「ゼロ軒めロボ酒場」の概要
ゼロ軒めロボ酒場は、養老乃瀧が展開する「一軒め酒場」の池袋南口店の店内にオープンしています。レジでQRコード付きのチケットを購入し、ロボットカウンターでQRコードを認識させることで、ロボットがお酒を作ってくれる仕組みです。
お酒を作るロボットは、工業用のアームロボットとあわせて、顔が表示されるディスプレイが設置されており、エンターテインメント性をもたせています。単純にお酒を作るだけではなく、AIによって”ロボ店長”がお酒を作りながら会話してくれます。注文する人の表情や性別、年齢をセンサーによって読み取り、AIが注文者にあわせて対話する仕組みです。
このようにエンターテインメント性をもたせることで、集客効果も狙っていると語られています。
今回の実証実験の目的
今回の実証実験は、深刻な人手不足を解消し、ロボットと人が協働できる技術を構築することが目的です。
日本社会では人手不足が問題となっていますが、とりわけ飲食業界は約8割の企業が人手不足だというデータがあります。そのため、飲食業界の深刻な人手不足を解消するための手段として、ロボットの活用が期待されているのです。
今回の実証実験ではロボットの活用だけでなく、AIやIoTといった技術も組み合わせられています。従業員の負担軽減が主な目的ですが、顧客を楽しませようとする努力も欠かせない要素といえるでしょう。
さまざまな問題をクリアし、次世代型飲食店のきっかけとなるか
今回の実証実験では、ロボットはエンターテインメント性を考慮して店舗の入口に設置されています。完全無人化には至っておらず、QRコード付きのチケットは年齢認証の問題があるため、有人のレジで購入することになります。注文から商品の提供までを無人化させるためには、この問題をクリアしなければなりません。年齢認証の問題がクリアできれば、発券から無人で対応することも可能に。
養老乃瀧では、店舗の入口に設置するだけでなく、厨房にロボットを置くことも考えられています。厨房に置くことで、お酒を作る従業員の負担を軽減させることが可能だと考えられているのです。さまざまな問題を考えると、ロボットは厨房において従業員の負担を軽減させることに注力するほうが現実的といえるでしょう。
しかし、ソフトバンク社のAIロボット「ペッパー」が接客をするカフェ「ペッパーパーラー」の例もあります。次世代型飲食店として、養老乃瀧は今回の実証実験をどのように活かすのでしょうか。 〈参照〉養老乃瀧の「ロボ酒場」 機械の店員はテーブル3台分を稼げるか/日経XTREND