NTTドコモは、店舗の陳列棚の写真を取るだけで、AIの画像認識によって棚割りデータを作成するサービスを提供中です。今後、このサービスは、棚割りデータを活用した効果的な陳列の提案を行うなど、店舗の販売戦略・事業戦略に役立てられるように進化すると考えられます。
今回は、NTTドコモが提供する「棚SCAN-AI」の紹介とあわせて、新たな販売戦略・事業戦略の形に触れていきます。
NTTドコモの「棚SCAN-AI」とは?
「棚SCAN-AI」は、誰でも簡単にスマホ写真を撮るだけで、AIによって陳列棚の商品を自動認識し、棚割りデータを作成するサービスです。NTTドコモがAIによる画像認識エンジンを開発し、サイバーリンクスが提供する商品画像データベースと照合することで実現しています。
売り場の棚割り画像から、商品情報や位置情報を判別し、店頭陳列のデータ化を行うものです。その情報を使って、店頭分析や他の棚割りシステムへの連携を可能とします。
従来は、棚割りデータを作成するために1商品ごとにスキャンが必要であり、多大な労力を要しました。しかし、「棚SCAN-AI」を利用することで、スマホで売り場写真を撮るだけで商品の認識ができるため、作業コストを大きく削減することが可能となっています。
「棚SCAN-AI」は、大手飲料メーカーやたばこメーカーが利用しており、そのほかの複数企業も新規導入を検討しています。
「棚SCAN-AI」を活用した販売戦略・事業戦略
「棚SCAN-AI」を活用することで、高度な販売戦略・事業戦略が可能に。従来は「売上実績」といった結果を元にした分析が中心であり、戦略も限定的なものになってしまいます。しかし、棚SCAN-AIを利用することで「陳列状況」という過程の情報を得られるため、より高度な戦略が立てられるようになるのです。
NTTドコモは、大手携帯キャリアとして大量の顧客情報などを保有しており、同社が保有する情報には、「モバイル空間統計」や顧客の年齢・性別・アンケートによる詳細なデータなどが含まれます。これらの数百万人分のデータなどと、棚割りデータを組み合わせて分析することで、AIによる最適な棚割りを提案する仕組みを構築することを狙っています。
店舗を訪れる消費者に合わせた品揃えや、需要予測を高い精度で行えるようになれば、より高度な販売戦略・事業戦略が可能となるのです。
今後はネットショップと同等以上の顧客分析が求められる
棚割りをデータ化することは、新たな販売戦略・事業戦略の第一歩といえるでしょう。インターネットの発達によって、ネットショップが台頭してきたことで、リアル店舗は新たな戦略が求められています。
ネットショップは、リアル店舗に比べてコストが抑えることができ、さまざまな情報をデータ化して分析することが可能であるメリットがあります。リアル店舗においても、多くの情報をデータ化してマーケティングに活かすことが求められているのではないでしょうか。