経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」をご存知でしょうか。昨今、日本でもDX推進が叫ばれ続けていますが、その背景にもなっているものです。「2025年の崖」を乗り越えなければ、日本は国際競争力をなくし、経済の停滞が危惧されており、回避するためには世界に目を向けてDXの推進に成功している事例を参考にすることが一番でしょう。
そこで今回は、「2025年の崖」の概要と併せて、乗り越えるための6つのアプローチについて簡単に紹介します。
「2025年の崖」とは?
「2025年の崖」は、経済産業省が公表しているDXレポートのなかに登場する言葉です。既存システムの複雑化・老朽化・ブラックボックス化したものが残り続けた場合の、国際競争力の低下や経済の停滞を表します。その要因として2025年までにIT人材の引退やサポート終了などによるリスクの高まりよって引き起こされるとされています。
DXレポートのなかでは、2025年には21年以上稼働している古いシステムが全システムの6割を占めると予測されており、これらのシステムを刷新しない企業は多くの事業機会を失うとのこと。既存システムの問題を解決し、業務全体の見直しが必要であり、この課題を実現できない場合は2025年以降最大で年12兆円の経済損失が生じる可能性があるのです。これが「2025年の崖」であり、DX推進が企業における喫緊の課題となっています。
「2025年の崖」を乗り越えるための6つのアプローチ
日本でもDX推進は進められていますが、「実際のビジネス変革にはつながっていない」とされる企業がほとんどです。それでは、世界に目を向けてみるとどうでしょうか。ロンドンを本拠地として世界各国でアドバイザリーサービスなどを展開するアーンスト・アンド・ヤング社の調査によれば、DX推進に成功している企業には次に挙げる6つの習慣やアプローチ方法があったと報告されています。
- 顧客を最優先に考える
- AIを積極的に活用する
- パートナーシップを活用してイノベーションを進める
- 新しいインセンティブやトレーニングでDX人材を育てる
- アジャイル型アプローチでイノベーションを加速
- 新たなテクノロジーに対するガバナンスを機能させる
DX推進というと、「ITツールを導入すること」と考える方も多いかもしれません。しかし、それはあくまでも「手段」であり、DX推進の「目的」とはなりません。DX推進に成功している企業の習慣やアプローチからも分かる通り、システム面だけでなくガバナンス面における対応が必要なのです。