いまや生活になくてはならない存在となったコンビニですが、これまで増え続けていた店舗数が2019年に入り減少に転じました。コンビニ業界は幾度となく成長鈍化と限界説がささやかれていましたが、近年ついに直面したと言えるでしょう。
今回は、これまでのコンビニの歴史とあわせて、デジタル化による影響について紹介します。
生活インフラとしての役割も担うコンビニ
コンビニはもともとアメリカから輸入された業態であり、その始まりは1973年のファミリーマート1号店にさかのぼります。1974年にはセブンイレブン、1975年にはローソンの1号店が出店し、その後50年近くコンビニ業界は成長し続けてきました。
2000年代に入ってからは、コンビニ業界の成長鈍化と限界説がささやかれ始めましたが、2008年にはタスポ効果によって来店客を増やすことに成功しています。また、2011年の東日本大震災の際には、生活インフラとして活躍するなど、その存在は私達の生活に欠かせないものに。
加えて、2000年代以降はECの台頭によってコンビニの存在意義の見直しが必要となりましたが、無店舗型のネット専業者にはできないビジネスモデルの追求が始まりました。ECは手元ですぐに注文できますが、届くまでには時間がかかります。その点、コンビニは今すぐに必要な際に利用するといった明確な棲み分けができていました。
コンビニに影響を及ぼすデジタル化
しかし、ここにきてコンビニの店舗数が減少し始めた要因として、デジタルの進化が挙げられます。
たとえば、公共料金の収納代行やコンサートやスポーツ観戦、レジャー施設のチケット取得は近くのコンビニで取得でき、便利なものとして利用されてきましたが、現在ではLINE Payなどのデジタル通貨で済ませられるようになりコンビニに足を運ぶ必要すらなくなりました。
また、コンサートなどのチケットも紙で発券される場合は、消費者にとっては発券すること自体が手間であり、紛失するリスクも存在しています。施設関係者側もチケットの確認や紙の処理に手間とコストがかかることになり、従来から歓迎されたものではなかったのです。
それが現在ではスマートフォンを利用したQRコードのチケットレスサービスによって解決され、ここでもコンビニに足を運ぶ必要性がなくなっています。
公共料金の収納代行やコンサートなどのチケット発券はコンビニの主業務ではありませんが、コンビニに足を運ぶことが少なくなる、といった点でコンビニに影響を及ぼしていると言えるでしょう。
これまでコンビニは文字通りコンビニエンス(便利)な店舗として、消費者のニーズに寄り添って成長を続けてきました。今後さらに進むデジタル化の流れのなかで、消費者ニーズとデジタル化をどれだけ融合して取り入れられるかどうかが、コンビニの成長に大きく影響するでしょう。