新型コロナウイルスは世界規模で多大な影響を与えています。そのなかでも特に小売業は影響を受けた業種と言えるでしょう。今回は、元ファミリーマートDX責任者でDXJAPAN代表・日本オムニチャネル協会アドバイザーの植野大輔氏と、デトロイトデジタル執行役員パートナーの森正弥氏の議論をもとに、小売業界に起きている変化について紹介します。
消費者に起こった3つの心理的変化
DXJAPAN代表の植野氏は、コロナによって消費者に大きく次の3つの変化があったと見ています。
- 生活必需品が欲しくなる
- 財布の紐が固くなる
- 密なお店を避けるようになる
いずれも新型コロナウイルスに対する不安から生じる心理的変化です。昨今の小売業においてはこの3つの心理的変化に対応する必要があると言えるでしょう。
世界規模で起きている小売業界の3つの変化
デトロイトデジタル執行役員パートナーの森氏によれば、世界規模で起きている小売業界の変化は大きく次の3つが挙げられています。
- 需要が急激かつダイナミックに変化している
- デジタルシフト
- 安全、安心、エコフレンドリーな意識が強まっている
新型コロナウイルスの感染防止や拡大防止のために、マスクや消毒液などの授業が高まっていることは想像に難くありません。しかし、実は世界で最も売れているのはパン焼き器で、反対にスーツケースは全く売れなくなっていると語られています。
続いてデジタルシフトは日本でも外出自粛の動きがあったように、世界規模でeコマースの需要が高まっていることで起きている変化です。2020年3月のeコマース利用率は日本で昨年同月比60%増、中国では90%増となっています。
最後に、新型コロナウイルスの感染に影響することから食べ物や日常品も安心安全で健康に近づけるものに人々の意識が向くようになったと語られています。また、中国では新型コロナウイルスの流行は環境破壊が影響していると考えられており、環境に対する配慮も数値として出ているとのこと。
小売業の付加価値を根本的に見直す時期に来ている
新型コロナウイルスの影響を受けて、大きな変化を求められている小売業界ですが、根本的なあり方は変わらないと考えられています。小売業ではどれだけ魅力的な商品やサービスを店舗に並べられるかが根本であり、この考え方は変わらないのです。
しかし、日本のサプライチェーンは未だ紙の伝票が飛び交っており、今回の騒動でその脆弱性が明らかになりました。そのため、デジタル化を推し進めることは必要不可欠と言えるでしょう。
小売業の根本的なあり方は変わらずとも、「小売業の付加価値とはなにか」という部分を見直して戦略を立てていかなければならない時期に来ています。