インターネット上でテレビショッピングのようにリアルタイムに商品を販売するライブコマース。新型コロナウイルスの影響で大きく生活様式が変わったいま、ライブコマースが新たな販売チャネルとして注目されています。実際に中国ではライブコマース市場は急成長を続けており、今後もその成長は加速することでしょう。
今回は、中国のライブコマースの現状から、今後の状況について解説します。
中国ではライブコマース市場が急成長
中国では新型コロナウイルスの影響でライブコマース市場が活気づいています。新型コロナウイルスによって店舗は通常通りの営業ができなくなり、インターネットを活用するようになっているのです。
実際に中国のライブコマース市場は2018年から成長していましたが、2020年はさらに急成長しています。その市場規模は2017年に209億元、2018年に1,502億元、2019年に4,512億元でしたが、2020年の予想額は1.1566兆元であり、内2.8%がライブコマースによる消費です。
中国の個人消費は2020年に入りマイナスでしたが、8月にプラスに転じた要因の一つはライブコマースと言えるでしょう。
ライブコマースで食品・自動車・マンションの販売まで
中国のライブコマースでは、ECで一般的に取り扱われる商品以外にも食品や自動車(中古車)、マンションの販売まで幅広く対応しています。
中国では現在食品としてザリガニが人気ですが、新型コロナウイルスの影響によってザリガニの消費は極端に減りました。そこで、ザリガニ養殖業者が現状を打開するためにライブコマースに乗り出し、養殖場の様子を配信しながら販売することで視聴者に安心を与え、養殖している1トンのザリガニを完売した事例があります。
そのほかにも、実際に目で見て購入することがほとんどである自動車やマンションの販売も、ライブコマースを通して直接質問しながら確認できるため、自動車・マンション販売にも活用されているのです。
ライブコマースはECと実店舗で購入できるもののほとんどに対応でき、オンラインの利便性を享受しながらオフラインの確実性も実現できる手段となっています。
さらに進化する可能性を秘めたライブコマースの魅力
ライブコマースはリアルタイムの配信で、視聴者の質問に配信者が直接答えることでオフラインと同等の買い物を実現できるメリットがあります。しかし、配信者の負担を考えると1日4時間程度が限度です。
そこで、中国ではAIを活用したチャットボットとアバターを併用して、24時間ライブコマースが行える環境の構築に力を入れています。新たな販売チャネルとして注目されているライブコマースですが、さらに新しい可能性を秘めているのです。
中国のように今後日本でも、ライブコマースによってあらゆる商品が販売されるようになる可能性は高いと言えるでしょう。
〈参照〉「ライブコマース」の止まらない勢い、海産物やマンションも「爆買い」されているワケ/FinTech Journal