新型コロナウイルスの影響を受け、多くの企業が苦境に立たされています。そんななか、需給に応じて価格を設定する「ダイナミックプライシング」が注目されており、JR東日本でも導入が検討されているとのこと。今回は、さまざまな業界で導入されているダイナミックプライシングについて、基礎から注目される理由などについて見ていきましょう。
ダイナミックプライシングは需給に応じて価格を設定すること
ダイナミックプライシングは、商品やサービスの価格を需要と供給の状態に応じて変動させる価格戦略です。代表的な例としては、需要と供給のバランスが予測しやすい旅行業界やホテル業界などで利用されてきました。
しかし、近年ではAI(人工知能)やビッグデータなどを活用して需要と供給の分析が行いやすくなり、さまざまな業界で利用できるようになってきています。小売業界においても、ECサイトでは需要と供給の分析が行いやすいこともあり、積極的に導入されているものです。
ウィズコロナでダイナミックプライシングが注目される理由
ダイナミックプライシングを導入する最大の目的は「利益の最大化」と「余剰在庫を抱えるリスクの低減」にあります。需要がある際には高い価格設定、需要がない際には低い価格設定とすることで、理論上は利益の最大化が図れるのです。
また、ダイナミックプライシングを実施するためには需要予測が必要不可欠であるため、消費者ニーズに合わせた商品・サービスの供給も行えるようになり、余剰在庫を抱えるリスクの低減も可能です。
需要に応じて価格を変動するダイナミックプライシングを導入できることで、反対に価格に応じた需要づくりも行えるようになります。たとえば、ホテルなどの宿泊料金を高く設定すると稼働が下がり、3密を避けたい消費者のニーズに合わせることが可能に。
くわえて、ダイナミックプライシングによって稼働の操作ができれば、閑散期や繁忙期のギャップが大きい業界では安定的な雇用の創出もできるようになるでしょう。
小売の実店舗でもダイナミックプライシングの導入が進んでいる
旅行業界やホテル業界では一般的だったダイナミックプライシングですが、近年では小売業界においても実店舗で導入する動きが見られます。従来からECサイトではダイナミックプライシングが導入されていても、実店舗では値札の変更対応などが簡単に行えないなどの問題がありました。
しかし、近年では家電量販店を中心に電子棚札の導入が進んでおり、小売のデジタル化によって実店舗でもダイナミックプライシングが導入できるようになっています。
いままでは一部の業界でのみ利用されてきたダイナミックプライシングですが、今後はより多くの業界で利用されることになるかもしれません。