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位置情報とターゲティング広告を組み合わせ、値引き情報を通知するローソン・KDDIの取り組み

広報部

2020.10.14

コンビニのローソンと大手携帯キャリアの一つであるKDDIは、共同で顧客の位置情報と購買履歴などを使って値引き情報を顧客のスマートフォンに配信するサービスを開始します。ターゲットを絞って配信するターゲティング広告と組み合わせた新しいマーケティング手法として活用する予定です。

今回は、ローソンとKDDIが実施する新たな取り組みについて見ていきましょう。

値引き情報を必要な顧客に届ける仕組み

今回の取り組みでは、10月2日から埼玉県内の10店舗でKDDIの「auPAYアプリ」、ローソンなどの共通ポイント「Ponta(ポンタ)」の両方を利用して実証実験が開始されます。従来は店舗に来店するまで顧客は見切り品の値引き情報を確認することができませんでしたが、事前に広告を使って通知ができるように。

過去1ヶ月分の顧客の位置情報と購買履歴から、帰宅途中で食料品を買う可能性が高いなどの消費行動を推測し、データ分析から割り出した顧客に見切り品の情報を通知することで実現します。コンビニ各社は自社のポイントサービス情報をターゲティング広告などに活かしてきましたが、位置情報の活用は初の試みです。

もちろん、プライバシーの問題もあるため、位置情報や購買履歴の提供に同意した顧客のみが情報の配信対象となります。

顧客の利便性向上だけでなく、店舗の廃棄コスト低減も可能

コンビニでは常に新しい食品を販売しており、廃棄(食品ロス)は大きな課題の一つです。コンビニの立地や規模にもよりますが、1店舗あたり1日約2~5万円ほどの食品ロスが出ているとされています。今回の取り組みは、店舗の負担となる食品の廃棄コストを抑える狙いもあるのです。

食品ロスはコンビニだけでなく日本社会全体の課題としてもあげられており、日本では年間612万トンもの食品ロスがあると報告されています。

今回の取り組みは顧客の利便性向上だけでなく、日本社会における食品ロスの課題に対する解決策の一つとしても見ることができるでしょう。

〈参照〉食品ロスとは/農林水産省
〈参照〉コンビニの食品ロスは1日いくら?/大和エネルフ株式会社

実証実験の今後の予定

実証実験は10月末まで続けられ、2021年度中に全国1万5,000店舗に広げる予定です。将来的には天気予報も組み合わせ、人工知能(AI)が見切り品の種類や値下げ幅を店側に提案する仕組みも検討しているとのこと。

現在のコンビニでは定価販売を原則としていますが、今後は新たなサービスの一つとしてローソンだけでなく、コンビニ各社に広がる可能性があります。

〈参照〉ローソンとKDDI、位置情報で値引き通知/日本経済新聞

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