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ホテル業界や航空業界などを中心に導入されているダイナミックプライシング。需要と供給に応じて動的に価格が変動する価格戦略の一つですが、新型コロナウイルスの影響を受けてさまざまな業界での導入が検討されています。
今回は、ダイナミックプライシングの概要からメリット、企業での導入事例を見ていきましょう。
ダイナミックプライシングの概要と仕組み
近年耳にする機会の多くなったダイナミックプライシングですが以前から存在しており、ホテルの宿泊料金や航空券の料金などの設定に用いられてきました。需要が高い場合は価格を高く設定し、需要があまりない場合は価格を低く設定することで売り上げの最大化が見込める価格戦略です。
ホテル・航空業界などでは需要と供給の時期が予測しやすく、従来は人の手で月別の売り上げや年間の顧客動向などのデータから価格を導き出していました。しかし、近年ではAI(人工知能)の発達によってさまざまな業界でも利用できるようになってきています。
ダイナミックプライシングのメリット
ダイナミックプライシングを導入するメリットは、企業側と消費者側の双方に存在します。
企業側のメリット
- 売り上げの最大化が見込める
- 設備や人的リソースの有効活用
消費者側のメリット
- タイミングが合えばリーズナブルな商品が手に入る
企業としては、消費者が求めるタイミングで商品を最大価値で提供できるため、売り上げの最大化が見込めるのです。くわえて、繁忙期と閑散期の需要を平準化することで遊休期間が発生せず、リソースを有効活用できます。
反対に消費者側としては、価格が変動するためタイミングさえ合えばリーズナブルな価格で商品を手に入れるチャンスが生まれます。
ダイナミックプライシングの導入事例
実際にダイナミックプライシングが導入された事例をホテル・航空業界以外の業種から見てみましょう。
ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(入場チケット)
ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでは、2019年に入場チケットにダイナミックプライシングを導入しています。導入前までは9年連続でチケットの値上げが行われていましたが、ダイナミックプライシングの導入によって入場者数コントロールと混雑緩和による顧客満足度の向上に成功しています。
ローソン(コンビニ弁当、惣菜)
ローソンでは試験的にダイナミックプライシングが導入されました。電子タグの実証実験を行った際に賞味期限が近い商品を特定し、顧客のSNSに通知するシステムを取り入れたのです。その通知をもとに商品を購入すると実質的な値引きを受けられ、実用化することで廃棄ロスの低下につながると考えられています。
このように、さまざまな業界でダイナミックプライシングの導入が進んでいます。