セミナーや商談時に他社事例を紹介されることは多いのではないでしょうか。しかし、紹介された事例が「その会社特有のもので自社に当てはまらない」「自社はB2CなのでB2Bの事例を紹介されても仕方がない」といったように、役に立たなかったという経験をお持ちの方も多いでしょう。
そんなときに役立てられるものが「抽象化プロセス」であり、思考を少し変えるだけでセミナーや商談を有意義なものにすることが可能です。今回は、事例を自社に応用するための抽象化プロセスの考え方について見ていきましょう。
そもそも「抽象化プロセス」とは?
抽象化プロセスは事例を概念的に構築し直すプロセスであり、事例を抽象化することで最終的にたどり着いた汎用的な考え方を自社に当てはめることができます。例えば、B2Bの企業におけるマーケティングオートメーション施策の事例として、「顧客からの問い合わせ対応後に満足度アンケートを送付し、その結果に合わせて顧客対応を変える」というものがあった場合を考えてみましょう。
この事例をそのまま受け止めると「自社はB2Cなので当てはまらない」「そもそもマーケティングオートメーションを導入していないから活用できない」と考えてしまいがちです。しかし、抽象化していくことでどの会社でも応用できる取り組みとして捉えることが可能です。
抽象化プロセスの考え方-Howを省く、上位概念に置き換える
抽象化プロセスの考え方としては、次の2点が挙げられます。
- Howを省いて抽象化する
- Howを上位概念に置き換える
How(どのように実施したのか・手法)を取り除いたり、上位概念に置き換えたりすることで、事例の抽象化が実現できます。Howを取り除くと、その企業がもともとやりたかったことを推測できるようになり、上位概念に置き換えるとオートメーションツールにとらわれない取り組みとして捉えられるようになるのです。
これらを行うことで最終的に自社にとってどのようなメリットが生み出されるかを考えていくことが、抽象化プロセスの考え方です。
自社の事情を加味しすぎないことがポイント
抽象化プロセスを実施する際のポイントとしては、「自社の事情を加味しすぎない」ことがポイントになります。自社に当てはめるときもある程度は抽象化した状態で自社の状況に当てはめることが重要です。
自社の状況に当てはめることができたら、コストやオペレーション、組織構造などを洗い出し、自社として行うべきかを検討しましょう。抽象化した状態で自社に当てはめた際のインパクトから考えることで、早い段階で実現を諦めてしまうことも避けられます。
他社事例の一つひとつは固有の環境によるものだったとしても、そこから自社に展開できるヒントは存在しています。他社事例を紹介された際には、抽象化プロセスを活用してみてはいかがでしょうか。