新型コロナウイルスの影響を受け、顧客動向が大きく変化しています。小売企業は変化する顧客動向にあわせた販売戦略が必要となりますが、具体的にどのように変化しているのでしょうか。
新型コロナウイルスによって日本全国で外出を自粛する動きになり、消費者はオンラインを中心とした購買行動への移行が活発になってきています。そのため、小売企業は今までの販売戦略をそのまま実施するのではなく、オンライン化・デジタル化が必要不可欠なのです。
今回は、変化する消費者のトレンドや小売企業の今後の対応について解説していきます。
消費者のなかで起こる「消費の再選別・再定義」
新型コロナウイルスによる自粛生活が続いたことで、消費者のなかで「消費の再選別・再定義」が起こると考えられています。「いままで店舗に足を運んで商品を買っていたが、本当にその必要があるのだろうか」「本当にその商品を購入する必要があるのだろうか」といった、消費行動の動機や意義・価値の見直しが行われると考えられているのです。
外出自粛期間中は、外出できないためネットショッピング(EC)に頼る消費者が多く存在しました。いままでECをあまり活用しなかった消費者でも、今回の騒動で使わざるを得なくなった場合も多いでしょう。その際に、オンラインで出会った商品で今まで利用していた商品の代替ができてしまったり、店舗に足を運ぶ必要性を感じなくなったりと、消費の再選別・再定義が起こるのです。
このことから、小売企業はオンラインを中心に新たな購買体験を経験した消費者に対して、新たな価値を提供する必要が出てきたといえるでしょう。
変化する消費者のトレンドと小売企業の今後
近年の小売における消費者のトレンドとしては、大きく次の3つが挙げられます。
- ファッションを中心とする物販全般の低トレンド化
- 店舗に足を運ぶ必要性や価値の低下
- スマホとネットによる新たな購買チャネルの台頭
物販全般の低トレンド化については、総務省統計局の「家庭調査年報」によると、ここ10年ほどで1ヶ月の平均支出金額が1万6,000円台から1万円台へと大幅に下落していることからわかります。そのため、物販全般は販売戦略を見直す必要があるといえるでしょう。
また、2についてはECを利用する消費者が非常に増えてきており、わざわざ店舗に足を運ぶ必要性や価値がなくなってきているのです。大概の商品はECで入手可能であり、注文した翌日には届くことも多く、その利便性から利用者は今後も増えることが考えられます。
さらに、スマホとネットを活用してネットショッピングを行う消費者も増えてきており、消費者同士で売買(CtoC)が行えるフリマアプリなども人気です。CtoCは誰もが気軽に売買できるため、新たな購買チャネルとして多くの消費者が利用しています。
今までの購買行動は店舗に足を運ぶ必要がありましたが、オンラインで済ませることができる環境ができあがっています。消費者も便利なECに慣れ、店舗販売の必要性・価値は低下してきているといえるでしょう。
新型コロナウイルスによって小売だけでなく店舗経営全般は多大な影響を受けました。新型コロナウイルスの影響は未だ根強く残っていますが、今後もコロナ以前の状態に完全に戻るとはいえません。小売企業においては、オンラインへの比重が大きくなった消費者に対して、オンライン化・デジタル化といった対応が重要になってきます。
ECの立ち上げ(オンライン)だけでなく、店舗(オフライン)との融合によって、消費者に新たな価値を提供することが求められるといえるでしょう。