新型コロナウイルスの感染拡大によって、全国で非常事態宣言が発令されました。現在では解除されていますが旅客輸送需要は激減し、タクシー事業者は経営維持が困難な状況が続いていることでしょう。
そんななか、国土交通省からタクシー事業者を対象に有償貨物運送の特例措置がなされています。
今回は、タクシー事業者を対象とした有償貨物運送について紹介します。
タクシー事業者を対象とした有償貨物運送とは
タクシー事業者は人の運送を行う旅客輸送業です。しかし、非常事態宣言による外出自粛要請によって、需要が激減して経営が困難な状況になりました。
あわせて、飲食・小売業も店舗経営に多大な影響を受けており、配送にかかわるニーズが増加しています。
そこで、タクシー事業者が人ではなく、有償で貨物運送することを特例として認めた制度なのです。この特例は「新型インフルエンザ等対策特別措置法」に基づくものであり、「道路運送法第78条第3号」に基づいて運用されています。
対象事業者、許可期間
対象事業者は次の2つの条件に該当するタクシー事業者となります。
- 旅客需要減少下においても従業員の雇用の維持に努力し事業継続に取り組んでいること。
- 体温測定を含む点呼など、乗務前の運転手の健康管理を適切に行っていると認められること。
引用元:新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえたタクシー事業者による有償貨物運送について
また、特例許可期間は5月8日時点で緊急事態宣言が発令された都道府県を対象に9月30日までとなっています。現在では緊急事態宣言は解除されていますが、引き続き9月30日までは有効です。今後も社会・経済情勢などをふまえて、期間は延長される可能性があります。
その他の留意事項
貨物運送を行う区域に関しては、許可を受けた一般乗用旅客自動車運送事業にかかわる営業区域内に限定されています。貨物運送中には車体前面に「貨物」と表示することが義務付けられており、旅客と貨物を同時に運送することはできません。
また、貨物の積載は衛生面や事故防止などの観点からトランクに限られている点も注意が必要です。運送に関する運賃・料金に関しては、依頼主である飲食店などと相互に話し合って決定するものとしています。
本特例は申請が必要ですが、FAXやメールなどでも事前審査や申請書の提出が可能となっています。