中国は一足先に新型コロナウイルスを抑え込めたとして、日常が戻りつつあります。中国の動向は今後の日本の動向にも通ずるところがあるといえるでしょう。そのため、中国の小売業がアフターコロナ対策として進めている対策は、今後の日本でも必要になると考えられます。
今回は、コロナによって中国の小売企業が受けた影響やアフターコロナ対策について見ていきましょう。
コロナによって中国の小売企業が受けた影響
インターネット利用動向や、消費者行動分析などを行うニールセンの調査によれば、中国の小売企業のうち42%が昨年同時期と比較して売上が減少したと回答しています。しかし、小売企業の44%は売上が増加していることを報告しており、中国の春節の間に状況が二極化していることがわかっています。
トップ小売企業は強力なサプライチェーンにより業績が好調である一方で、中小企業やコンビニエンスストアの売上は減少しているとのこと。ニールセンの調査では、中国の小売企業が直面した課題としては、次の3つが重要な課題であることが判明しました。
- 在庫切れ:62%
- サプライチェーンへの負荷:59%
- 配達スタッフの不足:48%
このことから、在庫切れ・サプライチェーンの負荷に対する「サプライチェーンの強化」、配達スタッフ不足に対応するための「オンラインチャネル拡大」が必要だと考えられます。
オンラインチャネル拡大、サプライチェーン強化が求められる
中国では多くの小売企業がアフターコロナを見据えており、調査対象となった46%の小売企業は今半期の見通しについて楽観的であると回答しています。
今後のビジネス戦略としては、67%の小売企業は「オンラインチャネルの拡大」を回答し、43%は「生鮮食品のサプライチェーンへの取り組み、ブランド強化」を回答しました。
コンビニや食料品店など、小売の種類によって企業ごとに戦略の優先順位は異なりますが、オンラインチャネルの拡大とサプライチェーン強化はほぼ共通しています。
ニールセン中国の社長であるジャスティン・サージェント氏は「新型コロナウイルスの感染拡大が小売業界の発展を加速させるだろうとの見方もあります」と述べており、今回のコロナ禍は見方を変えればチャンスとも捉えられるのではないでしょうか。旧態依然とした状態からの脱却こそが、アフターコロナ対策に必要な対策といえるでしょう。
〈参照〉アフターコロナの中国、約7割の小売業がオンラインチャネル拡大へ、食品スーパーはサプライチェーン強化に進む/DIAMOND Chain Store