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東レのICタグ(RFIDタグ)の低コスト化技術でIoT時代の到来か

2020.03.31

東レ株式会社が、ICタグ(RFIDタグ)を低コストで生産できる技術を開発したと発表しました。東レの技術開発により、今後IoTがさらに普及することが予想されます。今回は、東レが開発したICタグの概要とあわせて、IoTの普及を後押しする理由について解説します。

ICタグ(RFIDタグ)のコストを従来の5分の1以下に

東レが開発したICタグの技術は、従来5円~10円と言われているコストを、5分の1以下となる1円~2円にまで引き下げる技術です。ICタグは衣料品などの在庫管理や、レジの自動化で利用されています。

東レが開発した技術では、従来の複雑な製造方法ではなく、電子回路を直接プリントする技術を使うため、大幅に生産工程を減らすことが可能となります。電子回路を直接プリントする技術は存在していましたが、電波をうまく飛ばすことができない問題があり、今まで実現しなかったとのこと。

現在は値札などの間に挟み込んで製造する「RFIDインレイ」が多く利用されていますが、東レは「インレイだけでなく、完成したタグ供給も視野に入れる」と話しています。2021年3月までにサンプルを出荷し、アパレル企業と実証実験を開始する予定です。2023年3月には事業化に進めたい考えとしています。

ICタグ(RFIDタグ)のメリット

ICタグの最大のメリットは、複数のタグを一括で読み取ることが可能な点にあります。ICタグは電波を用いてタグの情報を非接触で読み取るシステムであるため、バーコードなどのように一つずつ読み取る必要がありません。

ICタグの導入事例として、全国各地に展開するユニクロの例が挙げられます。
ユニクロではセルフレジ利用の際にICタグを読み取る形式にしており、顧客のレジ待ちが発生しづらくなっています。精算にかかる時間は、有人レジと比べて最大で3分の1に。複数の商品を1回の読み取りで精算することができるため、精算時間の短縮につながるのです。

レジだけでなく、在庫管理でも効果を発揮しており、将来的には無人で棚卸しが完了することになるでしょう。

IoTの普及を後押しする形に

IoTは「モノのインターネット」と表されるとおり、あらゆるモノがインターネットに接続することで実現します。この考え方は2000年頃から存在していますが、未だ日常生活に深く浸透しているとは言い切れません。

その原因として「不安定なネットワーク環境」と「ICタグのコストの高さ」の2点が挙げられていました。しかし、今回の東レの開発によってICタグのコスト問題は解決されることになり、ネットワークの問題も2020年春から開始予定の「5G」によって解決される予定です。

2020年代には、昔から想像されてきたIoTの世界が実現するのではないでしょうか。

〈参照〉東レ、ICタグの価格5分の1に IoT普及後押し/日本経済新聞

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