グリーンライフ・ポイントとは、脱炭素型社会の実現に向けて消費者の環境に配慮した行動に対し、企業・自治体などが発行する環境配慮ポイントの総称であり、環境省が令和3年度(2021年度)補正予算で実施する事業です。
カーボンニュートラルの実現に向けて自治体や企業にはGX(グリーン・トランスフォーメーション)への取り組みが求められています。
この記事ではGXへの取り組み・カーボンニュートラルの実現に向けたグリーンライフ・ポイントの概要と目的、採択された地方の中小企業の事例を紹介します。
グリーンライフ・ポイントとは?
グリーンライフ・ポイントとは、消費者が環境に配慮した製品・サービスなどを選ぶ、環境に配慮した行動をした際に付与されるポイントのことです
この事業に参加する企業がすでに何らかのポイント運用をおこなっている場合、その既存のポイントの名称をそのまま使用することが可能です。
また、この事業に採択された企業や自治体は、取り組みにかかった経費の一部の補助を受けることができます。
環境省は消費者が環境への配慮を意識することで、企業も環境に配慮した製品・サービス等を提供することを間接的に促し、さらにそれらを選択する消費者が増えるといった好循環を目指しています。
事業目的
環境省によると、日本のライフスタイル温室効果ガス排出量の約60%が衣食住を中心とした家計関連が占めています。
その一方で政府は2050年までに「カーボンニュートラル」の実現を目標に掲げています。
このカーボンニュートラルに向けて消費者や企業の行動変化を促すために2021年度補正予算に盛り込まれた事業が、グリーンライフ・ポイント事業です。
環境省は「消費者や企業の環境に配慮した行動(グリーンライフ)を促すため、ポイントという形で行動の結果を見える化・インセンティブ化してフィードバックすることが有効であるとしています。
消費者の環境配慮行動(グリーンライフ)のイメージ
具体的にグリーンライフとして考えられる行動は下記のようなものです。
・CO2削減のため公共交通機関を利用する
・使い捨てプラスチック削減のためにレジで使い捨てスプーンやストローを辞退する
などの行動に対してポイントが発行されるイメージです。
また、成果指標としては下記のようなものが挙げられています。
KPI(アウトプット指標)
:消費者の環境配慮行動に対してポイントを発行するシステムが構築・改修された件数
成果指標
・ポイント発行を受けた人数やポイント発行数
・ポイントが発行された製品/サービス等の種類及び税込価格の合計金額
・環境保全効果
などを成果の指標とすることが想定されている。
グリーンライフ・ポイントの事例
採択された事例、取り組みが予定されいている事例として、下記のようなものが挙げられます。
フィルズ(神奈川県)
飲料専用事前決済プラットフォームサービスを利用し、マイボトルの中身だけを買いたいユーザーと、売りたい飲食店舗のマッチングをおこない、リユース容器を用いるユーザーにポイントを発行することを予定しています。
飛騨信用組合(岐阜県飛騨地域)
飛騨地域限定の地域通貨「さるぼぼコイン」を活用し、消費者が注文した商品の食べ切り、食べ残しの持帰り、包装資材の辞退、容器の持参、ホテルのアメニティの受取辞退に対してポイント付与する予定です。
エースコープ近畿(近畿地方)
地域の農家が生産した農作物・加工品(地産・旬産商品)の購入に対してポイントを発行する予定です。
アドバンテック(愛媛県)
衣類回収への協力、紙コップで飲料を提供する自動販売機の利用、消費・賞味期限間際の弁当・総菜の購入、家庭で使い切れない食品回収への協力、プラスチック製カトラリーの受取辞退、発電した電力を施設内で消費する発電遊具の利用、地産商品の購入、電子レシートの利用などに対してポイントを発行する予定です。
補助上限は3億円 公募期間は?
環境省は2022年6月27日からグリーンライフ・ポイント事業に参加する企業を募集しています。期間内に随時応募を受け付けており、予算額に達した場合は予告なく早期に募集を終了することがあります。補助事業の期間は、交付決定後、2023年2月28日までとしています。
また、補助金は全国規模事業で補助率が1/2(上限3億円)、地域規模事業で補助率2/3(上限は1憶円)と、取り組む事業規模によって異なっている。
自治体や企業だけではなく消費者も積極的な取り組みが促されている中で、このような事業にカーボンニュートラル実現への活路が見出せるのではないだろうか。