環境省は3月3日の2022年度予算案において、地球環境の保全や循環型社会の形成、公害防止などの「環境保全経費」の総額は1兆6,320億円になったと発表しました。今回は2022年度予算案の環境保全経費について見ていきましょう。
環境保全経費は前年度190億円増
2022年度の環境保全経費は、2021年度の1兆6,040億円に対して190億円の増加となっています。環境保全経費のなかでも「地球環境の保全」の区分において、脱炭素を軸として成長に資する政策などの予算が組まれたために増額となりました。
2030年度の新たな削減目標や2050年カーボンニュートラルという野心的な目標の実現の達成に向けた取り組みを加速させる施策が主となっています。「地球環境の保全」の予算額は5,647億円で対前年度244億円増となり、費用を対策体系区分別に見えると全体の34.8%を占めています。
各省庁の予算事項の例
2050年カーボンニュートラルの実現に向け、新規に要求された予算事項の一例は次のとおりです。
(経済産業省)
・カーボンニュートラルに向けた自動車部品サプライヤー事業転換支援事業(4.1億円)
・洋上風力発電の導入拡大に向けた調査支援事業(2.5億円)
・需要家手動による太陽光発電導入促進補助金(125億円)
(国土交通省)
・住宅、建築物カーボンニュートラル総合推進事業(350億円)
・カーボンニュートラルに向けた輸送形態の構築(2200万円)
(環境省)
・地域脱炭素移行、再エネ推進交付金(200億円)
・地域共創、セクター横断型カーボンニュートラル技術開発、実証事業(60億円)※1
・地域資源循環を通じた脱炭素に向けた革新的触媒技術の開発、実証事業(20億円)※2
※1・・・一部国土交通省、農林水産省連携事業
※2・・・文部科学省連携事業
「地球環境の保全」予算は10年前と比べて15%増
環境保全費の過去推移を見ると、全体総額は16%減となっていますが脱炭素社会の構築に関する主な予算項目である「地球環境の保全」は増加しています。10年前の2013年予算額と比較すると、「地球環境の保全」は15%増、全体総額に占める割合も25%から35%に増加しました。
一般企業でもSDGsの取り組みが進むように、社会情勢として環境保全に向けて動き出していることがわかります。