近年では多くのサービスにサブスク(サブスクリプション)が導入されており、利用したことのある方は多いのではないでしょうか。そんななか、パンのサブスクを提供する株式会社パンフォーユーは、コロナ禍で新規登録者数を約5倍に増やすことに成功しました。
今回は、パンフォーユーの取締役である山口氏のインタビューをもとに、サービスの概要から新規登録者数を増やした戦略について見ていきましょう。
パンのサブスク「パンスク」とは
パンのサブスクサービスである「パンスク」は、株式会社パンフォーユーが提供するサービスです。パンフォーユーでは地域のパン屋と消費者をつなぐプラットフォームを構築しています。全国にあるおいしいパン屋さんのパンを独自の技術で冷凍し、サブスク方式で届けるサービスなどの事業を手掛けています。
個人向けサービスのパンスクは、バゲット・食パン・菓子パン・惣菜パンなど、パン屋さんのおすすめセットを1つの箱に8個前後入れてお届けするサービスです。同様に法人向け事業としてオフィスにパンを届ける「パンフォーユーオフィス」や、百貨店・飲食店・商業施設・映画館などのさまざまなチャネルでパンを販売できる「パンフォーユーBiz」などの事業を展開しています。
2019年にサービスローンチした後に、2021年1月には登録者数が1万2000人を超えることとなり、2020年12月と比較すると登録者数は約5倍に増えました。
コロナ禍で登録者数を増やした戦略
パンスクがここまで成長できた背景には、サービスの切り口が重要になると考えられます。
山口氏は「パンスクはさまざまな切り口を提案することを意識してきました」とコメントしています。例えば、コロナ禍で巣ごもり需要が高まっていることを受け、「自宅で楽しめるサービス」という点を全面に出してパン屋さんから見ても魅力的なサービスと思ってもらえるように売上に貢献できる点を打ち出すなど。
その他にも、近年ではSDGsの流れが強くなっていることを受け、パンスクというサービスが「食品ロスが起きにくい」「パン屋さんの働き方改革につながる」といったアピールを行ったとのこと。パン屋さんへのアピールが回りまわって消費者の評価につながることを目指しており、この点が登録者数を増やした要因になっていると考えられます。
パンフォーユーでは他企業との共同プロモーションも積極的に取り組んでおり、似た属性の消費者をターゲットとする親和性の高い企業と協力することで、双方で自社ユーザーの体験価値をあげつつ、新規顧客の獲得を目指しているとのこと。
消費者だけに目を向けるのではなく、プラットフォーム全体の活性化に注力している点が成功の秘訣といえるでしょう。