分身ロボットのOriHimeなどの開発を行う株式会社オリィ研究所は、分身ロボットが接客を行なう「分身ロボットカフェDAWN ver.β」の常設実験店を6月21日にオープンしました。難病を患っていたり、重度の障害があったりと、外出できない人の働く機会や働き方の選択肢が増えるとして注目されています。
今回は、分身ロボットカフェDAWN ver.βについて見ていきましょう。
6月21日から日本橋でオープン
分身ロボットカフェDAWN ver.βは、6月21日に東京の日本橋にオープンしました。これまでに数回の期間限定店を経て、ようやく常設店のオープンを迎えた形となります。
吉藤オリィ所長は店名について「常設店になるのだからβの文字をとってもいいんじゃないか、という意見もありました。しかし、DAWNはこれで完成したのかと自身に問えばそうではありません。(略)“永遠のβ”という思いで文字を残しました」と語りました。
また、常設店ではなく正式には「常設実験店」としており、これからも変化し続けたいという思いの表れとなっています。
3つのエリアから成る「分身ロボットカフェDAWN ver.β」
分身ロボットカフェDAWN ver.βは次の3つのエリアに分けられています。
- Aエリア:OriHime Diner
- Bエリア:BAR & Tele-Barista
- Cエリア:CAFE Lounge
Aエリアでは分身ロボットのOriHimeが席に伺い、オーダーやドリンクサーブなどの接客を行います。遠隔で働くOriHimeパイロットと話しながらオリジナルフードなどが楽しめる席です。
Bエリアでは常設店となったことで新たに導入された元バリスタのパイロットが遠隔操作する「テレバリスタOriHime×NEXTAGE」によるサービスが受けられます。顧客にヒアリングして好きなコーヒーの味や当日の体調などから最適なコーヒーを目の前で淹れるシステムとなっています。
Cエリアは完全キャッシュレスのパーソナライズドカフェ「TAILORED CAFE」のコーヒーやホットサンドなどの軽食が楽しめる気軽に日常使いができる席です。
オリィの技術はコミュニケーション・テクノロジーではなくリレーション・テック
今回の常設店オープンにあたり、OriHimeの改良はオープン直前まで行われました。コロナ禍を意識して大声で話さなくても済むようにマイクやスピーカーの調整を行い、カメラ映像のチューニングを行ったとのこと。
加えて、店内を移動するOriHime-Dでは無線の強度を上げたり、動線を工夫したりして移動の自由度を向上させるなどの改良を施しています。
吉藤オリィ所長は「今まで私達の技術を“コミュニケーション・テクノロジー”の一つとして考えてきました。しかし、私達の技術は情報のやり取りだけではないため、“リレーション・テック”と呼ぶことにしました。これは人と人との関係性を築く技術」と語っています。
OriHimeは単純なコミュニケーションツールとしてではなく、人と人との関係性を築くための技術として、今後の進化が期待されます。
〈参照〉「分身ロボットカフェDAWN ver.β」常設実験店レポート 難病や外出困難の人達が活き活きと働けるカフェがついに常設店に/ロボスタ