日本でも導入が進んでいるセルフレジですが、海外では日本以上に導入が進んでいます。例えばアメリカでは、9割のアメリカ人がセルフレジを利用したことがあると答えているほど。しかし、そんななかで問題視されているものが「セルフレジ万引」です。日本でも今後問題視される可能性があるセルフレジ万引は、どのように対策を取ればよいのでしょうか。
今回は、世界最大のスーパーマーケットチェーンであるウォルマートの対策の例を紹介しつつ、セルフレジ万引について触れていきます。
深刻化するセルフレジ万引
そもそもセルフレジ万引とは、自身で商品をスキャンしなければならないことを逆手に取って不正に商品を持ち去ることです。その方法としては、スキャンをせずに持ち去る「スキャンスキッピング」や単価の安い商品と偽って決済を行う「バナナトリック」などが挙げられます。
セルフレジ万引の深刻性については、アメリカでは買い物客の5人に1人がセルフレジの小売店で何らかの商品を盗んだことがあると回答しているほど。また、イギリスでは100万件ものセルフレジ取引の結果を調査したところ、セルフレジの売店で発生した損失は在庫の約4%にものぼりました。これは有人レジの1.47%と比べると非常に大きな数字です。
セルフレジ万引の多くは最初から万引目的で入店する人は少ないと言われています。セルフレジの機械の不具合などを理由に、出来心から起きてしまうことが多いと調査でわかっています。
このように深刻化するセルフレジ万引については、ウォルマートの対策からヒントを得られるでしょう。
ウォルマートの対策1:AIの活用
ウォルマートではスキャンされずにショッピングバッグに入った商品を検知するために「Missed Scan Detection」と呼ばれるシステムを導入しています。
セルフレジと有人レジの両方にAIを搭載したビジュアルスキャナーとカメラを設置し、AIの機械学習を用いてスキャンされていない商品を検知することが可能になるのです。
ウォルマートの対策2:レジエリアのレイアウト変更
テクノロジーに頼るだけでなく、ヒューマンタッチを増やすことで対策を取ることもできます。ウォルマートではレジエリアのレイアウトを変更することで、顧客に新しい購入体験を提供するとともにセルフレジ万引の防止策としても活用しています。
このレイアウトでは、セルフレジと有人レジを一つの広いスペースにまとめ、セルフレジを利用する際は一つしか無い入り口から入ることになります。その際、ホストと呼ばれる店員がレジスペースの入り口で顧客を迎え、すべてのプロセスを手伝う方式です。
セルフレジはオープンなスペースに設置されており、店員の目も行き届きやすく、レジエリア内での行動も映像として収集しやすくなります。
AIの活用における初期導入費用などが気になる場合は、このようなレイアウト変更も検討してみてはいかがでしょうか。