新型コロナウイルスの影響によって売上減に苦しんだ外食産業でも、デリバリー市場の規模は前年比で1.4倍の拡大を見せました。そんななか、デリバリーの次の成長業態として注目を集めているものがフードトラック(移動販売車)です。
フードトラックがなぜ注目を集めているのか、フードトラックのメリット・デメリットなどと併せて見ていきましょう。
静かに盛り上がりを見せているフードトラック
新型コロナウイルスの影響により、外出自粛や巣ごもり消費におけるデリバリー(出前)は需要が急増しました。そんなデリバリーでも、配達中に料理が冷めてしまい店内飲食と同等の味が保証できないなどのデメリットが存在します。
そこでコロナ禍依頼、大手も含めた外食企業の間で静かな広がりを見せてみるものがフードトラックです。フードトラックはキッチン付きの自動車を用意し、移動した先で調理して提供するため店内飲食と同等の味の保証ができます。
実はフードトラックはコロナ前から外食産業の成長チャネルであり、2012年からずっと右肩上がりでフードトラックは増え続けています。
フードトラックのメリット・デメリット
そんなフードトラックには、主に次に挙げるようなメリットが存在します。
- 固定店舗と比べるとコストが抑えられる
- 自由に移動できるため外食需要の高い場所や時間を選んで営業できる
- 屋外であるため3密を避けられる
- 固定店舗よりも回転率が良い
など
しかし、その一方で次のようなデメリットも挙げられるでしょう。
- 出店場所の規制が多い
- 好立地は競合する他業者との取り合いになる
- 天候に左右されやすい
- 災害や犯罪といった不測の事態へのリスクが高い
など
フードトラックにはメリットとデメリットがありますが、固定店舗を持つ大手外食業者も次々と参入しており、例えば長崎ちゃんぽんのリンガーハット、宅配ピザのピザーラなどがフードトラックを活用しています。
外食業界からのフードトラック参入は、より増えることが予想される
外食業界では向こう50年先を見てみると、「人口減少による売上減」「固定費は大きく変わらない」という大きなトレンドがあると言われています。これらは従来の戦い方では太刀打ちできず、フードトラックがこれらの問題の解決策として注目されているのです。
現在では一時的に道路専有許可基準が緩和され、飲食店が歩道に客席を設けられるようになったり、講演などの公共空間の活用で公募が行われたりと行政も新たな対応を始めています。しかし、一部に留まっており行政が主導したルール整備を行うことも必要です。
そんななかでもフードトラックはイートイン・テイクアウト・デリバリーに続く消費者との「第4の接点」まで成長することが十分に考えられ、より増えることが予想されています。