近年、DX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は企業における重要な施策の一つになっています。日本でも2018年に経済産業省から「DX推進ガイドライン」が公表され、DXを推進することの重要性が見て取れますが、世界的に見てもDXで成果を上げている企業はわずか5%と言われていることをご存知でしょうか。
「IT化することがDXの推進」と考える方も少なくありませんが、あくまでもそれは一つの施策に過ぎません。今回は、DXの推進が必要な理由とあわせて、DXの推進に成功する企業に共通する5つの特徴を紹介します。
そもそも、なぜDXの推進が必要なのか
DXは「企業がデータやデジタル技術を活用し、組織やビジネスモデルを変革し続け、価値提供の方法を抜本的に変えること」を表しますが、そもそもなぜ推進する必要があるのでしょうか。
DXを推進する最大の目的は「企業の競争優位性を確立すること」にあります。そして、DXの推進が必要である理由は、現在の危機的な日本企業の状況が背景にあります。経済産業省の報告によれば、「IT人材の不足」と「古い基幹システム」の2つが障害となり、今のままでは2025年から2030年までの間に年間で最大12兆円の経済損失が生じる可能性があるとのこと。
DXを推進しなければ、日本経済に多大な悪影響を及ぼしかねないためDXの推進が必要とされているのです。なお、反対にDXの推進ができれば2030年の実質GDPにおいては130兆円の押し上げが期待できるとされています。
DXの推進に成功する企業に共通する5つの特徴
しかし、世界的に見てもDXで成果を上げている企業はわずか5%と言われており、どのように成功に導けばよいのでしょうか。アメリカの大手コンサル会社であるマッキンゼー・アンド・カンパニー社の調査によれば、DXの推進に成功する企業には次に挙げる5つの特徴があることがわかっています。
- デジタルに精通している適任のリーダーを各部署に配置している
- 将来の労働力の変化を見据えて、全体的な組織能力を向上させている
- 新しい働き方を導入し、従業員の生産性を向上させている
- 日々デジタルツールを導入するなどして、社内をアップグレードし続けている
- 新しいデジタルシステムをむやみに導入せず、旧システムも見直しながら徐々に新体制へと移行させている
企業に求められることは、長期的な視点で国内外にアンテナを張りながら、リソースを的確に割り当てる意思決定を迅速に行うことだと言えるでしょう。むやみにITツールを導入するだけでなく、既存ビジネスを的確に変革しながら新規事業を創出するなどして、国際的な競争力を高めていくことが重要です。