TREND NEWS

流通・小売業の最新情報を発信しています

ウォルマートとAmazonの境界線がなくなりつつある?お互いの戦略を取り込む両社

広報部

2020.11.10

アメリカの小売業として最大のウォルマートは、常にAmazonを意識した戦略を講じています。ECとして世界最大規模のAmazonに対抗するために、9月から新たに始めた「Walmart+」はその最たる例と言えるでしょう。そして、実はウォルマートだけでなくAmazonもまたウォルマートの戦略を意識していることがわかる事例があります。

今回は、お互いの戦略を取り込んで成長を続ける両社について見ていきましょう。

ウォルマートによるAmazon戦略の取り込み

デロイトトーマツグループが発表した「世界の小売業ランキング2020」でウォルマートは売上高1位の企業です。Amazonは同ランキングでは3位となっていますが、Amazonの戦略を取り込んでいることがわかる事例として新たに始めた「Walmart+」が挙げられます。

Walmart+は、ウォルマートが展開するECサイト上の16万点もの配達が無料となるサブスクサービスです。さらに、ガソリンスタンド付きの実店舗におけるガソリンに対して、1ガロンあたり5セントの割引がついてくる特典があります。これはAmazon Primeの無料動画や楽曲ストリーミングサービスに対抗するためのウォルマート独自の特典です。

ウォルマートはアメリカ国内に3万店舗以上を展開していますが、Walmart+ではユーザー近辺の店舗から数時間で生鮮食品が受け取れる仕組みとなっています。実店舗が「ミニ配送センター」となることで、実店舗とECサイトを上手に融合して活用しており、AmazonにおけるサブスクサービスのPrimeの戦略を取り込んだ結果と言えるでしょう。

Amazonも同様にウォルマート戦略を取り込んでいる

Amazonは実店舗を持ちませんが、ウォルマートのように「ミニ配送センター」を設けることを9月に発表しています。これは、ウォルマートに対抗するためのウォルマート戦略の取り込みと言えるでしょう。

Amazonは全米1,000箇所にフル規格の配送センターを持っていますが、ミニ配送センターはそれらとは異なります。Amazonが2017年に買収した高級生鮮ホールフーズの約475店舗をミニ配送センターとして活用する試みを行なっています。

しかし、それらは現状うまく機能していないと言われており、別途独自の生鮮スーパーの展開を開始して配送専門のミニ配送センターを1,000箇所で立ち上げる予定です。

多彩な戦略で躍進するウォルマート

お互いの戦略を取り込むウォルマートとAmazonですが、ウォルマートはWalmart+だけにとどまりません。調査企業のeMarketerが8月に調査した結果によれば、ウォルマートのEC売上は2位のイーベイを抜き、Amazonに次いで大きいものとなりました。

ウォルマートでは年末商戦に向けたおもちゃショッピングのページ「Wonder Lab」を開設したり、Oracleと提携してTickTok上での独占的な広告出稿や若年層への訴求を狙ったりと、常に多くの戦略を展開しています。

加えて、新しくファッションプライベートブランドの「フリーアッセンブリー」の立ち上げによって、ブランド品よりも安価な先端アパレルをWalmart+上で提供。このように、ウォルマートは多彩な戦略で躍進しており、今後のWalmart+の成功は、ウォルマートの成功に直結すると考えられます。

〈参照〉新・小売サバイバル「アマゾン化するウォルマート」対「ウォルマート化するアマゾン」/ビジネス+IT

PAGE TOP