仮想通貨で用いられるブロックチェーン技術。ブロックチェーンは仮想通貨のための技術と思われる方も多いかもしれませんが、実はその活用方法はあくまでも一つの事例でしかありません。新たなブロックチェーンの活用事例として、株式会社Chaintope(チェーントープ)では鮮魚の生産履歴管理に利用されており、同技術が地域経済を活性化させる起爆剤になると考えられています。
今回は、Chaintopeのブロックチェーン技術の活用事例を中心に、ブロックチェーンについて見ていきましょう。
そもそもブロックチェーン技術とは
おおざっぱにブロックチェーンは分散型台帳を実現するための技術です。分散型台帳は誰もが閲覧可能であり、誰が・いつ・どのような取り引きを行ったかを記録しています。従来は中央集権でいち管理者によって管理されていましたが、ブロックチェーンではネットワークの参加者すべてが管理者でもあるため、内容の改ざんが難しいという特徴を持ちます。
その特徴を利用して、ユーザー同士で信頼性の高い取り引きが行えるものであり、代表的な例としては仮想通貨での取り引きに利用されているものです。
ブロックチェーンで鮮魚の履歴管理
そんなブロックチェーンをChaintopeでは鮮魚の生産履歴の追跡に活用しました。水産業者・運送業者・購入者のすべてが同じ台帳を参照でき、鮮魚がどこで収穫されてどのように配送されたのか、といった正しい情報を簡単に閲覧できるのです。
2020年の夏にホヤの生産履歴追跡を宮城県石巻市のフィッシャーマン・ジャパン・マーケティングが実験した事例を見てみましょう。この実験では、水産業者がホヤの収穫日時や写真をアプリに登録し、QRコードを発行・印刷してパッケージに貼り付けました。その後、流通拠点を経由するたびに担当者がスマホでQRコードを読み取ると日時や場所が記録され、購入者は店頭に並ぶホヤのパッケージにあるQRコードを読み取ることでホヤの生産履歴が簡単に追跡できる仕組みです。
この仕組みはChaintopeが開発したブロックチェーンベースのシステムが活用されており、内容の改ざんが難しいため産地偽装などの問題にも対応できます。
鮮魚の履歴管理による効果
この実験でホヤの購入者にアンケートを実施したところ「産地や鮮度が証明され、付加価値を感じる」という声が多く寄せられたとのこと。さらに、「履歴がわかるなら通常より価格が5%以上高くても買う」と答えた人は実に6割を超えたといいます。
ブロックチェーンによる履歴管理は鮮魚のみならず、和牛の輸出やイスラム教徒向けのハラル認証などでも利用が広がる可能性があります。インターネット以来の革命と言われるブロックチェーン技術は、これからの未来における新たなサービスを生み出す可能性を大いに秘めている技術なのです。