今やコンビニは日本における最大の小売店となっています。日本フランチャイズチェーン協会の調べによれば、コンビニ店舗数は2020年6月時点で約5万5,000店舗であり、約2万店舗とされる食品スーパーを大きく上回っている状況なのです。
そんなコンビニですが、最近は食品スーパーのように生鮮食品を販売する店舗も登場してきています。新型コロナウイルスによる顧客動向の変化に対応するための変化であり、ローソンでは6月から「ローソン生鮮野菜市」をはじめるなど、食品スーパー化の流れが見て取れます。
今回は、食品スーパーになりつつあるコンビニの現状とその背景について見ていきましょう。
コンビニが食品スーパーに?
新型コロナウイルスの影響を受け、食品スーパーは混雑するようになりました。その背景には、外出自粛や3密回避のために必要な商品をまとめて買う消費者が増え、レジの対応が間に合っていないことが挙げられます。
混雑を避けたい消費者は、そんな食品スーパーではなく最寄りのコンビニで商品を購入するようになったのです。コンビニ各社はそのような顧客動向の変化に対応するため、従来取り扱うことの少なかった生鮮食品の販売もはじめており、コンビニの「ミニ食品スーパー化」がはじまっています。
新型コロナウイルスによって売上・客数が大幅減
大手コンビニ各社(7社)は新型コロナウイルスの影響を多大に受けており、5月の既存店売上高は前年同月比10%減、客数は約2割減となりました。また、調査の公表を始めた2005年1月以来、下げ幅としては最大の記録を更新しています。
しかし、そんななかで次に挙げるような商品は売上が伸びていることがわかりました。
- 調味料
- 牛乳
- 卵
- 冷凍食品
- 台所用洗剤
- トイレ用洗剤
- パスタなどの乾麺
など
コンビニではおにぎりやソフトドリンクなどが主力商品ですが、テレワークが拡大したことによってオフィスで働くビジネスパーソンのランチなどが減り、需要が少なくなったと言われています。
それに対して伸びている商品はスーパーなどで購入することの多い商品であり、コンビニの食品スーパー化が消費者にも求められている結果と言えるでしょう。このことからも、コンビニの食品スーパー化が進められている理由がわかるのではないでしょうか。
コンビニを含めた小売業の今後の動向とは
セブン&アイ・ホールディングスの井阪隆一社長は「ウイルスをきっかけに変化する生活習慣を見据えて対応する必要がある」とコメントしており、コロナの影響で変わりつつある消費者動向の変化に対応する必要があることを表しています。
コンビニにおける消費者動向の変化にあわせた業態の変化は、すべての小売業でも言えることでしょう。今後のコンビニの動向にも注目しつつ、小売業の今後の動向をしっかりと見定める必要があります。